
外壁塗装の見積もりをお願いすると、業者が実際に家を見に来ます。
この確認を、塗装業界では「現地調査」、略して「現調(げんちょう)」と呼ぶことがあります。
現調では、家のまわりを歩いたり、外壁を確認したり、写真を撮ったりしながら建物の状態を見ていきます。
「外壁の広さを測っているだけではないの?」
と思うかもしれません。
実際には、見積もり前の確認では、外壁の面積だけでなく、
- どんな外壁材なのか
- どこが傷んでいるのか
- 補修が必要な場所はあるか
- コーキングはどのくらい施工するのか
- 外壁以外に塗装する場所はあるか
- 足場をどのように組めるか
など、さまざまな部分を確認します。
なぜそこまで見るのでしょうか。
理由は、確認した内容が、
「どこを塗るのか」
「何を補修するのか」
「どの材料を使うのか」
「どのくらいの量が必要なのか」
といった、見積もりの中身につながっていくからです。
今回は、外壁塗装の見積もり前に行う現調で、業者が住宅のどこを確認しているのか、そしてその確認が工事内容にどう関係するのかを見ていきます。
外壁の広さだけを測って見積もりを作るわけではありません
外壁塗装の費用を考えるうえで、塗装する面積は大切です。
ただし、
「外壁が150㎡だから○○万円」
というように、面積だけで見積もりが決まるわけではありません。
たとえば、同じくらいの大きさの住宅でも、
一方は外壁の傷みが少なく、補修箇所も少ない。
もう一方は、ひび割れやコーキングの劣化があり、塗装前の補修が必要。
という場合があります。
さらに、雨樋や破風板などの付帯部をどこまで塗るかによっても、工事内容は変わります。
建物の状態を見ながら、どこまで工事が必要なのかを一つずつ確認していきます。
1. 外壁材|どんな壁に塗るのかを確認します
まず確認したいのが、現在使われている外壁材です。
戸建て住宅の外壁には、
- 窯業系サイディング
- モルタル
- ALC
- 金属系サイディング
など、さまざまな種類があります。
外壁材が違えば、表面の特徴や傷み方も異なります。
そのため、
「何を塗るか」
を決める前に、
「何に塗るか」
を確認する必要があります。
これは、使用する仕上げ塗料だけでなく、下塗り材や下地処理を考えるうえでも大切です。
同じくらいの面積の住宅でも、外壁材や状態が違えば、必ずしも同じ工事内容にはなりません。
2. 外壁の劣化|塗る前に何が必要なのかを確認します
次に、外壁そのものの状態を見ていきます。
代表的なのは、
- 色あせ
- チョーキング
- ひび割れ
- 塗膜の剥がれ
- 苔やカビなどの付着
- 外壁材そのものの傷み
などです。
ここで確認しているのは、
「塗り替え時期かどうか」だけではありません。
重要なのは、
ということです。
ひび割れがあれば、状態に応じて補修を検討します。
剥がれている塗膜があれば、必要な下地処理を行います。
表面の傷みが強ければ、使用する下塗り材についても確認します。
つまり、外壁を見ているのは傷みを指摘するためだけではありません。
その状態から、どのように塗装できる状態まで整えるのかを考えるためでもあります。
3. コーキング|どこまで施工するのかを確認します
サイディング外壁では、外壁材と外壁材の継ぎ目や窓まわりなどにコーキングが使われています。
現調では、
- ひび割れていないか
- 硬くなっていないか
- 隙間ができていないか
- どの範囲に施工されているか
などを確認します。
ここで見ているのは、劣化の有無だけではありません。
コーキング工事を行う場合には、
どの場所を、どのくらい施工するのか
も見積もりに関係します。
同じような大きさの住宅でも、外壁の形状や窓の数、目地の長さによって施工量は変わります。
そのため、
「外壁塗装と一緒にコーキングもします」
という説明だけでは、実際の工事範囲までは分かりません。
見積書を受け取ったら、目地や窓まわりなど、どこまで含まれているのか確認しておくと分かりやすくなります。
4. 雨樋・破風板・軒天など|外壁以外にどこを塗るのか確認します
外壁塗装の見積もりで意外と差が出やすいのが、外壁以外の部分です。
たとえば、
- 雨樋
- 破風板
- 軒天
- 水切り
- 庇
- シャッターボックス
などがあります。
こうした部分は、一般に「付帯部」と呼ばれます。
現調では、それぞれの材質や状態を確認し、今回の工事で塗装するかどうかを検討します。
たとえば、
A社は雨樋と破風板まで。
B社は水切りやシャッターボックスまで。
というように施工範囲が違えば、見積もりにも差が出ます。
見積もり金額に差が出る理由については、施工範囲や面積、補修内容などを比較しながら解説した記事もあります。
5. 屋根やベランダ|一緒に確認した方がよい場所がないか見ます
外壁塗装の相談でも、住宅全体の状態を確認する中で、屋根やベランダなどを見ることがあります。
だからといって、
「確認した場所は、すべて一緒に工事しなければならない」
ということではありません。
大切なのは、
今どのような状態なのかを知ったうえで、今回工事するかどうかを判断すること
です。
たとえば屋根も塗り替え時期に近ければ、足場を組む機会に一緒に工事する方法があります。
一方で、まだ工事の必要性が低い状態であれば、今回は外壁だけという判断もあります。
ベランダについても、防水層やトップコートの状態によって必要な対応は変わります。
今回必要なことと、今後考えていけばよいことを分けるための確認でもあります。
6. 建物の形や高さ|同じ坪数でも塗装面積が変わることがあります
「30坪の家なら、外壁面積も同じくらいでは?」
と思うかもしれません。
しかし、床面積が同じでも建物の形によって外壁面積は変わります。
たとえば、
凹凸が少ないシンプルな形の住宅。
出窓やバルコニー、建物の凹凸が多い住宅。
では、外壁の面積が同じになるとは限りません。
さらに、窓や玄関など、塗装しない部分をどのように差し引くかも関係します。
そのため見積もりでは、単純に「何坪だから」と判断するのではなく、実際の建物に合わせて塗装面積を確認します。
同じ坪数でも、建物の形によって外壁の面積は変わります。
7. 家のまわり|足場を組める環境か確認します
最後に、意外と見落としやすいのが建物のまわりです。
外壁塗装では、多くの場合、建物の周囲に足場を組みます。
そのため、
- 隣の建物との距離
- カーポートやテラス屋根の位置
- 植木や物置の位置
- 道路から建物までの搬入経路
- 敷地の高低差
なども確認することがあります。
ここは外壁そのものではありません。
それでも確認するのは、実際に工事を行える環境かを把握する必要があるからです。
たとえば、足場を組む場所が狭い場合や、通常とは異なる施工条件がある場合には、工事方法に影響することがあります。
つまり、見積もり前に業者が見ているのは、
見積もり前に細かく確認する理由が見えてきます
ここまで見ると、現調で家のまわりを細かく確認する理由も少し見えてきます。
外壁材を見る。
劣化状態を見る。
コーキングを見る。
付帯部を見る。
屋根やベランダを見る。
面積を確認する。
足場を組む場所を見る。
これらは、それぞれ別々の確認に見えます。
でも実際には、
を考えるためにつながっています。
そして、その結果が、
- 施工範囲
- 補修内容
- 使用材料
- 塗装面積
- 足場
- 工事費用
として見積書に表れてきます。
だから、同じような大きさの住宅でも、見積金額が必ず同じになるわけではありません。
現調中に気になることがあれば、その場で聞いて大丈夫です
業者が外壁を見ながら写真を撮っていたり、一か所を長く確認していたりすると、
「何か悪いところがあるのかな」
と心配になることもあります。
そんなときは、
と聞いてみて大丈夫です。
また、住んでいる方にしか分からないこともあります。
たとえば、
- この辺りだけ雨のあとに気になる
- 以前ここを補修した
- ベランダの床が気になっている
といったことがあれば、調査時に伝えておくと確認してもらいやすくなります。
外から見ただけでは分からない情報もあるため、気になる場所があれば遠慮せず伝えてみましょう。
見積書を受け取ったら「調査した場所がどう反映されたか」を見てみましょう
現調で細かく確認してもらったあと、見積書を受け取ります。
ここで総額だけを見るのではなく、
調査で確認した内容が、見積書のどこに反映されているか
を見てみると分かりやすくなります。
たとえば
ひび割れを確認した
→ 補修は見積もりに入っている?
コーキングの劣化を確認した
→ どの範囲を施工する?
雨樋や破風板を確認した
→ 付帯部塗装に含まれている?
すべての専門用語を理解する必要はありません。
分からなければ、
と聞いてみてください。
現地で確認した内容と見積書がつながると、金額だけでは分からなかった工事の中身が見えやすくなります。
見積書を受け取ったあとに、施工範囲や塗料名、補修内容などを確認したい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
まとめ|見積もり前に見ているのは「外壁の広さ」だけではありません
外壁塗装の見積もり前には、外壁の広さだけを確認しているわけではありません。
外壁材。
劣化状態。
コーキング。
付帯部。
屋根やベランダ。
建物の形。
足場を組む環境。
こうした部分を確認しながら、
を整理していきます。
そして、その内容が見積書の施工範囲や補修、使用材料、数量、費用につながります。
だからこそ、見積書を受け取ったときは総額だけでなく、
「現調で確認した内容が、どの工事として入っているのか」
も見てみてください。
見積書の数字だけを見ていたときより、工事の中身が分かりやすくなると思います。




















