
「同じ家を見てもらったのに、どうして18万円も違うんだろう」
外壁塗装の見積書を2枚並べたとき、こんな疑問を持つことがあります。
たとえば、
A社 108万円
B社 126万円
※以下の見積金額や内容は、金額差が生まれる理由を分かりやすく説明するための一例です。
どちらも同じ家を調査して、どちらも「外壁塗装」の見積もりです。
18万円あれば、決して小さな差ではありません。
「安い方を選んだ方が得なのかな」
「でも、安い方は何か工事が足りないのでは?」
「逆に、高い方は必要のない工事まで入っている?」
考え始めると、だんだん分からなくなってきます。
ここで、2枚の見積書を「108万円と126万円」として見るのを、いったんやめてみましょう。
18万円という差だけを見ると、「高い」「安い」としか判断できません。
でも、見積書の中身を一つずつ比べてみると、
「塗る場所が違う」
「面積の出し方が違う」
「補修する範囲が違う」
「使う材料が違う」
というように、いくつもの違いが見えてきます。
では、この18万円はどこから生まれたのでしょうか。
2枚の見積書を横に並べながら、順番に見ていきます。
最初の違いは「外壁以外」にありました
最初は、どちらも外壁塗装の見積もりに見えました。
ところが項目を追っていくと、一つ違いがありました。
A社には、
「付帯部塗装 一式」
と書いてあります。
B社には、
雨樋
破風板
軒天
水切り
シャッターボックス
と、一つずつ書かれています。
「付帯部一式なら、A社にも全部入っているのでは?」
そう思いますよね。
でも、ここは確認しないと分かりません。
「一式」という表記の中に、どの部分まで含めるかは見積もりによって異なることがあります。
「一式」と書いてあること自体が問題というわけではありません。
大切なのは、その一式に何が含まれているのかが分かることです。
「付帯部塗装一式」と書かれていたら、
「雨樋や破風板、軒天など、どこまで含まれていますか?」
と確認してみましょう。
たとえばA社に確認すると、
「雨樋と破風板、軒天までです。水切りとシャッターボックスは今回は含めていません」
ということが分かるかもしれません。
すると、最初に見えていた18万円の差のうち、少なくとも一部は、
同じ工事なのに価格が違うのではなく、塗る場所そのものが違う
ということになります。
もし手元に見積書があるなら、「一式」という文字を探してみてください。
その横に、具体的な施工箇所まで書いてあるでしょうか。
書いていなければ、
「この一式には、どこまで入っていますか?」
と聞くだけでも、金額差の一つが見えてくるかもしれません。
今度は、同じ外壁なのに面積が違いました
外壁以外の工事範囲は少し違う。
そこまでは分かりました。
では、肝心の外壁は同じなのでしょうか。
見積書を見ると、
A社 外壁145㎡
B社 外壁163㎡
となっています。
「同じ家なのに、外壁の広さまで違うの?」
ここでまた疑問が出てきます。
18㎡違えば、使用する塗料の量や施工費にも影響するため、見積金額にも差が出る可能性があります。
ただし、面積の数字だけを見て「大きい方が間違い」「小さい方が正しい」と判断することはできません。
図面から計算している場合もあれば、現地で測っている場合もあります。
窓や玄関など、塗らない部分をどのように差し引いているかによっても数字が変わることがあります。
ここで確認したいのは、
「145㎡と163㎡のどちらが正しい?」
だけではありません。
それよりも、
「なぜ面積が違うのか?」
「この面積は、どのように出しましたか?」
と確認することが大切です。
計算方法が分かれば、
「こちらは窓を差し引いた面積なんだ」
「こちらは外壁全体から算出しているんだ」
というように、数字の意味が見えてきます。
見積書に書かれた「㎡」は、単なる数字に見えます。
でも、その数字が変われば見積金額も変わります。
18万円の正体が、また少し見えてきました。
金額差は「塗るところ」だけではありませんでした
ここまでで、塗る場所と外壁面積という、2つの違いが見つかりました。
でも、18万円の差はそれだけではありません。
B社の見積書には、
「外壁ひび割れ補修」
「シーリング打ち替え」
という項目があります。
A社には、同じ項目が見当たりません。
「A社は補修をしないということ?」
ここは、すぐにそう決めつけない方がよいところです。
別の項目に含まれているかもしれませんし、調査した結果、必要と判断した範囲が違う可能性もあります。
そこで、
「このひび割れは塗装前にどうしますか?」
「シーリング工事は見積もりのどこに入っていますか?」
と聞いてみます。
すると、A社は「軽微な補修は塗装工事に含めています」、B社は「補修費を別項目で出しています」という違いが分かることもあります。
あるいは、本当に施工範囲そのものが違う場合もあります。
つまり、見積書に「ひび割れ補修」という項目があるかどうかだけでは、工事内容は判断できません。
どの補修を、どの方法で、どこまで行うのか。
そこまで確認して初めて、2社の見積もりを同じ条件で比較できます。
ここで大事なのは、
項目がある・ないだけで判断しないこと。
「この家のこの傷みを、どう直してから塗るのか」まで聞いて、初めて比較できます。
見積金額には、完成すると見えなくなる作業も含まれています。
塗料だけを比べていたときには見えていなかった部分です。
塗料を調べたら、今度は別の迷いが出てきました
見積書に書かれている塗料名を検索してみます。
「B社の塗料の方が高そうだから、18万円の差はこれかな」
そう考えたくなります。
もちろん、使用する塗料によっても金額は変わります。
ただ、ここでも「高い塗料だから良い」「安い塗料だから悪い」と単純には判断できません。
大切なのは、なぜその塗料を自宅に提案しているのかです。
「この外壁の状態なら、この塗料が適している」
という説明があるかを確認してみましょう。
外壁塗装は、塗料の種類だけで決まるものではありません。
洗浄、補修、下塗り、中塗り、上塗りといった工程を重ねて仕上げていきます。
だから、
高い塗料=見積もり全体も必ず良い
とは言い切れません。
逆に、
価格を抑えた塗料=悪い見積もり
とも言えません。
ここで比べたいのは、塗料の価格だけではありません。
その塗料を使って、どのような工程で仕上げる見積もりなのか。
そこまで見ると、見積書の違いがさらに分かりやすくなります。
塗料だけを検索していたときより、少し見積書の見え方が変わってきませんか。
ここで、最初の108万円をもう一度見てみます
最初は、
A社108万円。
B社126万円。
「A社の方が18万円安い」という見方でした。
でも、ここまで確認すると、
A社とB社では、水切りやシャッターボックスなど、塗装する範囲が違うことがあります。
外壁面積の出し方も同じとは限りません。
補修についても、見積書への書き方や施工する範囲が違います。
さらに、使用する塗料にも違いがあります。
すると、108万円という数字だけを見て、「安い」とは言い切れなくなります。
逆に126万円も、「高い」だけではありません。
18万円という一つの差に見えていたものが、いくつもの小さな違いに分かれてきたからです。
ここが、見積もりを比較するときに一番知っておきたいところです。
見積もりの金額差には、「この会社は高い」「この会社は安い」だけでは説明できない理由が含まれていることがあります。
では、安い方を選んではいけないのでしょうか
ここまで読むと、
「結局、安い見積もりはやめた方がいいの?」
と思うかもしれません。
そうではありません。
安くなる理由が分かり、その内容に納得できれば、安い方を選ぶこともあります。
たとえば、
「今回はシャッターボックスを塗装範囲に含めていない」
「現地調査で必要と判断された補修範囲が少ない」
「提案されている塗料の価格帯が違う」
理由が分かれば比較できます。
反対に、高い見積もりにも、補修範囲が広い、付帯部まで含まれている、使用する塗料や工程が違う、といった理由があるかもしれません。
だから、知りたいのは、
「どちらが安いか」より「なぜ違うか」
です。
理由まで分かったうえで、
「この部分は今回は塗らなくてもいい」
「ここはきちんと補修してほしい」
と決めれば、自分の家に必要な工事が見えてきます。
金額差があるとき、聞いてみたいのはこの3つです
見積書を全部理解しようとすると大変です。
専門用語を一つずつ覚える必要もありません。
金額差が気になったら、まず次の3つを聞いてみてください。
「この見積もりには、どこまでの工事が入っていますか?」
「この補修や工事は、どの部分に必要ですか?」
「見積もりに入っていない部分はありますか?」
この3つだけでも、工事範囲、必要な補修、あとから費用がかかる可能性のある部分が見えやすくなります。
そして、もう一つ確認したいのが、質問したときの説明です。
「この部分が今こういう状態なので、この補修を入れています」
と、専門用語ばかりではなく、分かる言葉で説明してもらえるかどうかも見てみましょう。
外壁塗装を依頼する側が、塗装の専門家になる必要はありません。
自分の家に何をするのかが分かればよいのです。
最初に見た「18万円」は、もう同じ18万円ではありません
ここで、もう一度最初に戻ります。
A社108万円。
B社126万円。
差は18万円。
数字は最初から変わっていません。
でも、ここまで読んだあとでは、見え方が少し違うはずです。
最初に見えていたのは、
「18万円安い」
という数字だけでした。
でも今は、
「何が違って18万円の差になっている?」
と中身を見ることができます。
この違いは大きいです。
安いから選ぶ。
高いから安心。
その二択ではなくなったからです。
たとえば、
「A社は安いけれど、塗らない部分がある。それでも今回は問題ない」
と納得してA社を選ぶこともできます。
反対に、
「B社は高いけれど、今直しておきたい補修まで含まれている」
と考えてB社を選ぶこともできます。
どちらが正解という話ではありません。
自分の家に必要な工事と、支払う金額の中身が一致しているか。
そこまで分かって選べることが大切です。
まとめ|「18万円違う」で終わらず、その中身を見てみましょう
外壁塗装の見積もりを複数取ると、同じ住宅でも金額が違うことがあります。
そんなとき、一番安い会社を選ぶ前に、少しだけ確認してみてください。
塗る場所は同じでしょうか。
面積の出し方は同じでしょうか。
補修する場所は同じでしょうか。
使う材料や工程は同じでしょうか。
一つずつ見ていくと、
「18万円違う」
という一つの数字が、
「ここが違う」
「ここも違う」
と分かれていきます。
それが分かれば、見積書はずっと選びやすくなります。
見積もりを比較する目的は、最安値を探すことでも、専門用語をすべて覚えることでもありません。
自分の家に何が必要で、その工事にいくら払うのかを納得して決めること。
金額差が気になったときは、まず「安い・高い」ではなく、
「なぜ違う?」
と考えてみてください。
見積書そのものの項目を詳しく確認したい方は、外壁塗装・屋根塗装の見積書チェックポイント8か条も参考にしてみてください。
相見積もりの取り方や、複数社を比較するときの基本を知りたい方は、外壁塗装の相見積もり完全ガイド|3社比較で失敗しないコツと注意点で詳しくご紹介しています。




















