
外壁塗装の見積書を見ていると、
「シーラー」
「フィラー」
「プライマー」
といった名前が書かれていることがあります。
「どれも下塗りみたいだけれど、何が違うの?」
「自分の家には、どれを使うのが正しいの?」
と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
外壁塗装では、仕上げに使う塗料だけでなく、その前に使う下塗り材も外壁の状態に合わせて選びます。
下塗り材を選ぶときに確認する主なポイント
- 外壁材の種類
- 表面の傷み方
- 塗料の吸い込み
- 外壁の凹凸
- 既存の塗膜
- そのあとに使う仕上げ塗料
同じ外壁塗装でも、こうした条件によって使用する下塗り材が変わることがあります。
今回は、外壁塗装でよく使われるシーラー・フィラー・プライマーについて、それぞれの役割や違い、どのように使い分けられているのかを分かりやすくご紹介します。
1. そもそも外壁塗装の「下塗り」は何のため?
外壁塗装は、いきなり仕上げ塗料を外壁へ塗るわけではありません。
一般的には、この順番で塗装を進めます。
最初に行う下塗りには、主に次のような役割があります。
- 外壁と仕上げ塗料を密着させやすくする
- 外壁への塗料の吸い込みを抑える
- 表面の状態を整える
- 次の塗装へ進みやすい下地をつくる
下塗りは、完成するとほとんど見えなくなります。
そのため、色選びや仕上げ塗料ほど注目されないこともあります。
しかし、外壁の状態に合った下塗り材を使うことは、その後の塗装を進めるうえで大切です。
外壁材や劣化状態によって、必要な下塗り材は異なります。
そこで使われる代表的なものが、シーラー・フィラー・プライマーです。
では、それぞれ何が違うのでしょうか。
下塗りだけでなく、中塗り・上塗りを含めた塗装工程について知りたい方は、
👉「外壁塗装の3回塗りとは?見積もりで確認したい下塗り・中塗り・上塗りのポイント」
2. シーラーとは?塗料の吸い込みを抑え、密着を助ける下塗り材
シーラーは、外壁と仕上げ塗料との密着を助けたり、下地への塗料の吸い込みを抑えたりするために使われる下塗り材です。製品によっては下地へ浸透し、表面を整える役割を持つものもあります。
年数が経った外壁では、表面が傷み、塗料を吸い込みやすくなっていることがあります。
その状態のまま次の塗装へ進むと、場所によって塗料の吸い込み方に差が出ることがあります。
そこで、外壁の状態に合ったシーラーを使い、下地を整えてから次の工程へ進みます。
シーラーの主な役割
- 外壁への塗料の吸い込みを抑える
- 仕上げ塗料との密着を助ける
- 下地表面を整える
シーラーには、水性タイプや溶剤系など、さまざまな種類があります。
どの外壁にも同じシーラーを使うわけではありません。
外壁材や既存塗膜、劣化状態、そのあとに使用する仕上げ塗料などを確認して選びます。
「シーラーを使っているから安心」ではなく、その外壁の状態や仕上げ塗料に合った製品が選ばれていることが大切です。
3. フィラーとは?外壁表面の凹凸を整える下塗り材
フィラーは、外壁表面の細かな凹凸を整えたり、下地を調整したりするために使われる材料です。
特に、モルタル外壁などで使用されることがあります。
見積書では、「微弾性フィラー」という名称を見ることもあります。
フィラーには、下地の凹凸を整えるため、ある程度の厚みを持たせて施工するよう設計された製品もあります。
フィラーの主な役割
- 外壁表面の細かな凹凸を整える
- 下地を調整する
- 仕上げ塗料を塗る前の状態を整える
● フィラーを塗れば、すべてのひび割れが直るわけではありません
大きなひび割れや動きのあるひび割れなどは、下塗り材だけで対応するのではなく、状態に応じた補修が必要になることがあります。
そのため、「フィラーを使うから、ひび割れ補修は不要」とは限りません。
ひび割れの大きさや状態を確認し、必要に応じて補修したうえで塗装を進めます。
外壁塗装前の下地処理や補修について詳しく見る
👉「外壁塗装・屋根塗装は塗るだけじゃない|下地処理で差が出る理由」
4. プライマーとは?素材と次の材料をつなぐ下塗り材
プライマーも、塗装する素材とそのあとに使う材料を密着させやすくするために使われます。
ただし、「プライマー」という言葉は幅広く使われています。
外壁塗装の現場では、
- 金属部用プライマー
- サビ止め機能を持つ下塗り材
- シーリング用プライマー
- 防水材用プライマー
など、「○○用プライマー」という形で使われることがあります。
たとえば金属部分では、素材と仕上げ塗料をつなぐための下塗り材として使用されることがあります。
シーリング工事では、シーリング材を密着させるために専用のプライマーを使用します。
なお、すべてのプライマーにサビ止め機能があるわけではありません。使用する素材や目的に合わせた製品を選びます。
● シーラーとプライマーは完全に別物?
シーラーもプライマーも、次に使う材料との密着を助ける役割があります。製品やメーカーによって名称や使われ方が異なるため、名前だけで単純に分けることはできません。
大切なのは名前だけではなく、どの素材に、何の目的で使う材料なのかを見ることです。
5. シーラー・フィラー・プライマーの違いを整理
ここまでの違いを、役割と使用される場面の例で整理してみます。
| 種類 | 主な役割のイメージ | 使用される場面の例 |
|---|---|---|
| シーラー | 塗料の吸い込みを抑え、密着を助ける | 外壁表面を整え、仕上げ塗料へつなぐ下塗りとして使用 |
| フィラー | 細かな凹凸を整え、下地を調整する | モルタル外壁など、表面の凹凸を整えたい場合に使用 |
| プライマー | 素材と次に使う材料の密着を助ける | 金属部・シーリング・防水など、それぞれの用途に合った下塗りとして使用 |
※上記は、それぞれの役割を分かりやすく整理したものです。実際には製品によって機能や用途が異なります。
「シーラーだからこの外壁」「フィラーだからこの外壁」と、名前だけで施工方法を決めることはできません。
「一般的な戸建てなら、どの下塗り材を使うことが多いの?」と気になるかもしれません。
ただ、下塗り材は戸建て住宅だから一律に決まるものではありません。
外壁材や現在の状態、既存塗膜、仕上げ塗料との組み合わせなどを確認して選びます。
そのため、「どの下塗り材がよく使われているか」よりも、自宅の外壁に合った下塗り材が選ばれているかを見ることが大切です。
6. なぜ家によって使う下塗り材が違うの?
同じ「外壁塗装」でも、使用する下塗り材が同じとは限りません。
主に次のような点を確認して判断します。
外壁材の種類
住宅の外壁には、窯業系サイディング、モルタル、ALC、金属系外壁など、さまざまな種類があります。
素材が違えば表面の性質も違うため、外壁材に合わせて使用する下塗り材を検討します。
外壁の劣化状態
同じ外壁材でも、傷み方は住宅によって異なります。
- チョーキングが起きている
- 表面が傷んでいる
- 塗膜が剥がれている
- 塗料の吸い込みが強い
- 細かなひび割れがある
こうした状態も、下塗り材を選ぶ判断材料になります。
既存の塗膜
以前どのような塗料が使われていたのかも確認します。
既存塗膜と新しく塗る材料との相性によって、使用する下塗り材が変わることがあります。
仕上げ塗料との組み合わせ
下塗り材だけを単独で選ぶわけではありません。
そのあとに使用する中塗り・上塗りの塗料との組み合わせも確認します。
● 下塗り材は「外壁の状態」と「仕上げ塗料」の両方を見て選びます
同じ築年数の家だからといって、必ず同じ下塗り材を使うわけではありません。
7. 前回シーラーだったから、今回も同じとは限りません
前回の外壁塗装でシーラーを使っていた場合、
「今回も同じものでいいのでは?」
と思うことがあるかもしれません。
しかし、前回の塗装から年数が経てば、外壁の状態も変わっています。
- 外壁の劣化状態
- 既存塗膜の状態
- 使用する仕上げ塗料
- 塗料メーカーの仕様
などが前回とは異なることがあります。
そのため、前回と同じ下塗り材を使うこともあれば、別の材料を選ぶこともあります。
前回と違う材料名が書かれているからといって、それだけで問題というわけではありません。
大切なのは、今回の外壁に合わせて選ばれているかです。
8. 見積書に「下塗り」としか書いていない場合は?
見積書を見ると、
とだけ書かれていることがあります。
この表記だけでは、どの下塗り材を使うのか、なぜその材料を選んでいるのかまでは分かりません。
ただし、「一式」と書いてあるから悪い見積もりということではありません。
見積もり時に聞いてみたいこと
● 「下塗りには何を使いますか?」
● 「この外壁に、その下塗り材を使う理由は何ですか?」
● 「使用する製品名は見積書や仕様書で確認できますか?」
材料名をすべて覚えたり、施主側が塗料の専門家になったりする必要はありません。
大切なのは自分の家に何を使うのか、その理由を確認できることです。
外壁塗装の見積書で確認したいポイントを見る
9. 下塗りを2回することがあるのはなぜ?
外壁塗装は、一般的に下塗り・中塗り・上塗りの3工程で進めます。
ただし、外壁の状態や使用する塗料の仕様によっては、下塗りを2回行う場合があります。
- 外壁の吸い込みが強い
- 下地の傷みが大きい
- 1回目の下塗りだけでは下地の状態が十分に整わない
- 使用する製品や塗装仕様で、複数回の下塗りが必要になる
● 「4回塗りだから3回塗りより良い」とは限りません
必要な下塗り回数は、外壁の状態や塗料の仕様によって変わります。回数が多ければ多いほど良いのではなく、必要な材料を必要な回数で施工することが大切です。
10. 下塗り材は自分で選ばないといけない?
シーラー、フィラー、プライマーと聞くと、
「結局、自分でどれを選べばいいの?」
と思うかもしれません。
基本的には、施主自身がこの3つの中から下塗り材を選ぶ必要はありません。
外壁材や劣化状態、既存塗膜、仕上げ塗料、メーカーの仕様などを確認し、施工業者が適した下塗り材を選びます。
確認したいのは「何を使うか」だけではありません。
「なぜ、この家にその下塗り材を使うのか」を説明してもらえることが大切です。
材料名だけを比べるより、
「この外壁は吸い込みがあるため、この下塗り材を使います」
「表面の凹凸を整える必要があるため、この材料を使います」
といった理由が分かる方が、見積書の内容も理解しやすくなります。
まとめ|下塗り材の名前より「なぜ使うのか」を確認しましょう
外壁塗装で使われるシーラー・フィラー・プライマーには、それぞれ役割があります。
シーラー:塗料の吸い込みを抑えながら密着を助ける
フィラー:外壁表面の細かな凹凸を整える
プライマー:素材と次に使う材料をつなぐ
ただし、これは大まかな違いです。
実際には製品によって機能や用途が異なり、外壁材や劣化状態、既存塗膜、仕上げ塗料などを見ながら使い分けます。
そのため、見積書に知らない下塗り材の名前が書かれていても、名前だけで良し悪しを判断する必要はありません。
気になるときは、このように確認してみてください。
理由が分かれば、見積書に書かれている「下塗り」という一つの工程も、少し分かりやすく見えてくると思います。



















