外壁塗装は“経費にできる”って本当?節税につながる仕組みを解説!
🧑💼 オーナー様「外壁塗装ってけっこうな出費ですよね…。この前、“経費にできる場合がある”って聞いたんですが、本当なんですか?」
👩🦰筆者「はい、実はアパートやマンションの外壁塗装工事は、条件によっては“経費(修繕費)”として処理できることがあるんです。節税につながる大事なポイントですよ。」
🧑💼 オーナー様「へぇ、それは助かりますね!じゃあ、外壁塗装すればそのまま全部経費になるんですか?」
👩🦰筆者「実はそこがポイントで、“すべてが一括で経費になる”とは限らないんです。塗装の内容によって、『修繕費』か『資本的支出(減価償却)』に分けられて、税務処理の方法が変わってくるんです。」
🧑💼 オーナー様「なるほど…。その違い、詳しく知っておかないと損しちゃいそうですね。」
👩🦰筆者「「おっしゃる通りです!このあとは、それぞれの違いや、どんなケースが経費になるのか、具体的にわかりやすく解説していきますね。」
1. 外壁塗装費用の2つの処理方法とは?
建物のメンテナンス費用は、以下の2つのどちらかで処理されます。
- 修繕費:原状回復や維持が目的 → その年に一括で経費計上可能
- 資本的支出(減価償却):価値や性能を高める目的 → 数年にわたって分割計上
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つまり、修繕費ならすぐに節税効果があるのに対し、減価償却になると長期的な節税効果になります。
2. 修繕費になる外壁塗装とは?【経費にしやすいケース】
以下のような工事は、原則として「修繕費」として認められる可能性が高いです。
修繕費になりやすい例
- 外壁のひび割れ補修
- 雨漏り修理
- 元の色に戻すだけの再塗装
- 台風など災害による一部補修
税務上のポイント
- 工事金額が20万円未満
- 3年以内の周期で定期的に行っている
※この2つのどちらかに該当すれば、修繕費として認められる可能性が高くなります。
⭕【実例紹介】外壁塗装費を修繕費として計上し、節税に成功したケース
ある賃貸アパートのオーナー様は、築20年を迎えた物件の外壁に色あせや一部ひび割れが見られたため、建物の保全を目的として塗装工事を行いました。
費用は約450万円。施工内容も元の色に合わせた塗装で、建物の価値を上げるような大幅な変更はありませんでした。
このオーナー様は、工事の目的が「維持・原状回復」であることを明確にし、税理士と事前に相談。
その結果、外壁塗装費を修繕費としてその年に一括で経費計上することができ、所得税・法人税の節税につながりました。
✔ このケースのポイント
-
施工目的を「維持管理」として明確に伝える
-
外観の大きな変更を避ける(色やデザインなど)
-
専門家に事前確認をとることで、税務処理がスムーズに
❌ 【NG事例紹介】修繕費として認められなかったケース
別のオーナー様は、中古物件を購入後すぐに外壁塗装を実施。費用は約700万円でした。
一見、修繕目的に見えますが、以下のような点が税務署に「建物価値を高める工事」とみなされる原因に。
-
デザイン性を大きく変更(色や外観イメージの刷新)
-
高耐久・高機能の塗料を使用
-
購入直後の工事で、取得価格の一部と見なされやすいタイミング
その結果、この工事費用は修繕費ではなく資本的支出とされ、減価償却による分割計上に。
年間の償却費は約32万円ずつ。予定していたような即効性のある節税効果は得られませんでした。
このケースの教訓
-
建物価値を上げるような変更は、修繕費として認められにくい
-
購入直後の工事は取得費と見なされやすいため要注意
-
修繕費か減価償却かは「目的・タイミング・内容」で判断される
3. 減価償却になる外壁塗装とは?【分割計上になるケース】
次のような工事は、「建物の価値を高める」とみなされ、資本的支出として減価償却の対象になります。
減価償却になる例
- 建物のデザインを大きく変更する塗装
- 高耐久塗料(無機・フッ素など)を使った工事
- 建物の断熱性能を高めるための特殊塗装
減価償却の計算例
工事費用:600万円
法定耐用年数:22年(償却率0.046)
年間の減価償却費:600万円 × 0.046 = 27万6,000円
このように、一括で経費にできない代わりに、毎年少しずつ計上して節税できる仕組みになっています。
耐用年数が長い工事の場合には、数十万円ずつを複数年にわたって経費化できるので、利益の波がある事業には特に有効です。
4【中古物件の場合】購入後すぐの外壁塗装にはご注意!
中古のアパートやマンションを購入して、すぐに外壁塗装を行うケースは少なくありません。
ただしこの場合、「塗装費用を修繕費としてすぐに経費計上できる」とは限らないので注意が必要です。
外壁塗装の費用が「修繕費」になるか「資本的支出(減価償却)」になるかは、工事を行う“目的”と“タイミング”によって判断されます。
ポイントは「いつ、何のために行ったか」
ケース | 経費の扱い | 解説 |
---|---|---|
購入直後の塗装 | 資本的支出(減価償却) | 建物の価値を高める「取得費の一部」とみなされるため、一括経費ではなく、年数に応じて分割計上 |
数年保有後の定期的な塗装 | 修繕費(一括経費計上可能) | 建物の維持や原状回復が目的であれば、修繕費として処理できる可能性が高い |
どう見分ける?
「購入後すぐの工事」は、建物の価値を引き上げる目的の“初期投資”とみなされやすく、減価償却の対象になります。
一方で、何年か住まわせた後の塗装であれば、維持・修繕のためと判断され、修繕費として処理できる可能性が高まります。
迷ったら税理士に相談を!
この判断は、税務調査や確定申告時に重要なポイントになります。
「すぐに経費にできると思っていたのに、あとから否認された」というケースを避けるためにも、事前に税理士へ相談しておくのが安心です。
5. 修繕費と減価償却、それぞれの節税メリットは?
項目 | 修繕費 | 減価償却(資本的支出) |
---|---|---|
計上タイミング | その年に一括 | 年数に分けて計上 |
節税効果 | 短期で大きい | 長期で安定 |
おすすめの状況 | 今年の利益を抑えたい | 将来的に収入が増える見込み |
例えば、今年大きな利益が出ていれば修繕費で一括計上して節税、将来に備えて安定した節税をしたい場合は減価償却が向いています。
6. まとめ:外壁塗装の費用処理は「目的」と「時期」で判断
アパートやマンションの外壁塗装費用は、経費処理の方法によって税金の負担が大きく変わります。
- 原状回復や維持が目的なら「修繕費」
- 資産価値の向上や耐久性UPが目的なら「資本的支出(減価償却)」
どちらで処理するか迷ったときは、事前に税理士へ相談することでトラブル回避と節税効果の最大化が期待できます。
外壁塗装は、建物を守るだけでなく、経営にも大きな影響を与える工事。 目的や状況に合わせて、最適な処理を選択しましょう。