外壁塗装でよく起こるトラブル
時を経ても続いていくずっと快適な空間_。
私たちが一番長く過ごす場所_わが家。
そのお住まいにおいて「住み心地~快適な暮らし~」 は毎日の暮らしに大きく関わってきます。
快適なお住まいを永く持続させていくために必要なメンテナンス「外壁塗装」は定期的に行うことで、大切な家を守り長持ちさせることができます。
しかし外壁塗装は費用が高く何度もできる工事ではないので、失敗は絶対にしたくないと誰もが思うことです。
では外壁塗装で実際にあった失敗談やトラブルの事例を見ながら対処法についても考えていきましょう。
仕上がりの色がイメージと違った
「色見本を見て決めたのにイメージしていた仕上がりと全然違う」
外壁塗装工事で一番の楽しみと言えば色選びですよね。楽しみにしていたはずの外観のイメージチェンジ。しかし出来上がった我が家はイメージとは全然違っていた。
これは外壁塗装によくあるトラブルです。
家の”外観”は、お住まいの第一印象を決める大きなポイントといってもいいでしょう。
塗装を始める前に、どんな色でどういう風に仕上がるのか?また前回と同じでは代わり映えしないから色を変えたい!など思いは様々です。
では・・・何色がいいのだろう?好きな色で選んでいいの?汚れの目立たない色にするには?色を悩みだすと、あれもこれもとなりがちです。このように塗り替えの色選びはみなさんの悩みどころではないでしょうか?
色選びに迷ったときは”標準色”を選択肢の一つに入れて見られるのもいいかと思います。住宅の色として実績のある人気色ばかりを30〜40色ほど集めたものです。好みの問題はありますが標準色の中から選ぶことで周りの家から自分の家が浮いてしまったという心配はなくなります。
色には「面積効果」というものがあります。「面積効果」とは目の錯覚により生じるもので、同じ色であっても面積が変わることで色の明るさや鮮やかさ、色合いの感じ方が変わるというものです。
小さな色見本よりも大きめのA4見本板を家の外壁に置いてみて陽射しの明るい時と曇りの両方を確認しておくと安心です。
また蛍光灯の下で見たときと自然光で見たときの色の見え方、パソコンの画面上で見た色も実際とは違って見えることがあります。
《どうしても仕上がりに納得がいかなかったら・・・》
色の変更は施工中であれば塗り替えが可能な場合はありますが、追加料金が必要になることが多いです。
基本的には塗り直しはできないという前提ですが、遠慮して何も言わないままだとそのまま工事が進んでしまうだけになります。施工中に気に入らないと思った場合には早めに希望を伝えてみると良いでしょう。
基本的に施工後の塗り直しは自己負担となります。そうならないためにもできる限りの対策と施工前の確認はしっかりとしましょう。
【対策】
・希望する色を詳しく業者に伝える
・色はできるだけ大きなサイズで見る
・室内の蛍光灯ではなく外で太陽光の下、時間をかえて色確認
・色味自体ではなく全体の配色イメージを見るにはカラーシミュレーションが効果的
色選びのときには業者と施主様との間に認識の差が生じないよう、詳しくイメージを伝えましょう。
塗装後すぐに不具合が生じた
塗装してすぐは綺麗にみえたが、塗り替え工事から1年も経たないうちに表面が剥がれたり、色あせが出るなどの不具合が生じた。
塗装工事費用は高額なため、他より安い見積書を提示されると魅力的に感じますよね。
しかし総費用が半額以下になるなど、数十万円単位の大幅な割引は警戒が必要です。やらなければならない基本の工程が省かれたり、必要な部材が使われなかったりなど手抜き工事の危険性が高くなります。安い見積もりには以下のような理由が考えられます。
《原因:1 メーカーが定める希釈率を守っていない》
塗料を薄め塗装しやすくしたり、仕上がりを調節するための溶剤のことを希釈剤と言います。薄めるためにはいわゆるシンナーや水が用いられます。
また使用する塗料には、それぞれ規定された希釈率があります。
悪徳業者の場合はこの規定の希釈率を無視して希釈剤を多く入れるケースが多いようです。安い希釈剤で薄めて水増しすることで、材料費を浮かせるのが目的であると考えられます。
希釈率と耐久性は深い関係があります。規定よりも多い希釈剤で薄めた塗料を使用すれば、外壁の耐久性が下がるだけでなく、機能性塗料の場合は本来の機能を発揮することができません。
《原因:2 人件費を削る》
工期を短くするために通常で行う作業を簡易的に済ませたり、配置する人員を減らすことで人件費を抑えます。作業人数を減らした場合、工期はそのまま終わらせる為手抜き工事を行うのです。
人件費を削ることで、仕上がりや品質が下がり、せっかくの塗装が数年で剥がれたり不具合が生じてしまいます。
《原因:3 材料費を削る》
塗料回数を減らすことで、材料費の削減にもなります。
塗装は通常、下塗り・中塗り・上塗りと3回塗りが必要ですが塗装を2回で済ませ塗料代を削るということもあります。その結果、塗料本来の性能を発揮できませんので、塗装直後は綺麗に見えていても数年後にはボロボロになってしまう結果に・・・。
【対策】
安すぎる見積もりや担当の説明が不明瞭であったり、質問に対する明確な受け答えができない業者には要注意です。また大幅な値引きを提示されたら、どのような仕組みで金額を下げられるのか説明を求めましょう。
塗料メーカーのホームページなどを参照して正確な希釈率や塗布量を調べてみたり、どのくらいの塗料缶を使用するのか業者に尋ねてみたりして、適切な塗布量を守っているかを確認してもよいでしょう。
また使用する材料や施工内容を確認し、詳細を口約束だけでなく見積書にしっかり記載してもらうことも重要です。
周囲の家から浮いてしまった
マイホームの外壁は自分の好きな色の塗料を選んで、綺麗にメンテナンスしたいと考える人も多いのではないでしょうか。
以前に比べ塗料も種類が豊富になり、理想とする色選びがしやすい環境になっています。
しかし近隣の家や周囲の建物の色・雰囲気を考えずに色選びをしてしまうと、周囲から必要以上に目立ってしまい、どんなに気に入った色で仕上がっても違和感が生じてしまうことがあります。
色選びで個性を出すことも勿論良いことですが、周りがシンプルな外壁や屋根の色ばかりの中に、自分の家だけ派手で奇抜な色だと後々ご近所トラブルにもなりかねません。実際自分の好む派手な色に塗り替えたところ、近隣の景観と合わず浮いてしまい、「色が派手すぎて不快だ」とクレームが出たというケースもあります。
好きな色というだけで選んでしまうと後で「失敗した」と感じたり、近隣住民とトラブルを起こしてしまう可能性があるので注意が必要です。
街の景観を損なわないよう、市区町村によっては景観ガイドラインが定められていることがあります。景観ガイドラインとは、各都市がきれいな景観を守るために定めた独自のガイドラインのことです。
外壁を街並みにそぐわない奇抜な色にしてしまうと、景観ガイドラインに違反する恐れあるのです。
例えば京都など歴史的建築物の多い地域では、外壁に決まった色しか使えないようになっています。
色選びをする際、お住まいの地域に景観ガイドラインがあるかどうか、調べてみましょう。
【対策】
・家の周りの景観を観察する
・希望する色が家に合うかチェックする
・希望する色を詳しく業者に伝える
・住んでいる市区町村に景観のガイドラインがあるか確認する
高圧洗浄の際、水が浸入してきた
外壁洗浄をしてもらったのですが窓枠から水が部屋の中に入って室内がずぶ濡れになってしまった。
高圧洗浄の水が家の中に入ってきてしまうトラブルには以下の原因が考えられます。
1.施主が窓や鍵を閉め忘れていた
窓や鍵の閉め忘れは、水の浸入の大きな原因になります。また換気扇を回しっぱなしにしていたために、換気扇から水が浸入してしまった・・・という事例も少なくありません。
2.業者が手順を踏まえず全て同じ水圧で洗浄してしまう
高圧洗浄は窓回り、サッシ回りなど箇所によって水圧を変える必要があります。
【対策】
・施行工程表を元に高圧洗浄の日を確認し、窓閉めは鍵の施錠までする
・換気扇など忘れがちな部分に漏れがないかチェックする
・また、一見小さな隙間だとしても高圧洗浄の威力はすさまじいものがありますので、状況や環境により圧力を計算・考慮し十分な配慮が必要となります。
近隣住民とのトラブルに発展してしまった
自分の車や隣家のカーポートにまで塗料が付いたので対処してほしい。
塗料の臭いにより気分が悪くなった。
足場工事の音が響いてうるさいため家でゆっくりできない。
急に足場が組まれて、部屋に日光が入らなくなった
路上に塗装業者の車が駐車しており、邪魔になる。
など近隣からのクレームは様々です。
一部どうしても避けられないトラブルもありますが、近隣の住民とのトラブルのほとんどは「外壁塗装工事に関して事前に何も知らされていないのに勝手に工事を始められた」という不満から苦情に繋がるケースがほとんどです。
近隣の方は、いつまで?どのような工事?自分たちに何か影響があるのでは?など工事が突然始まると不安になります。その不安をしっかりと取り除くために、事前に挨拶と説明をすると良いでしょう。
《もし近隣トラブルに発展してしまったら・・・》
近隣の方からの苦情がきたら、なによりまずは謝罪をして真摯に対応しましょう。また他に何か問題はなかったかという事実も確認するとよいでしょう。何もせずにそのまま放置すると、その後の大きなトラブルのもとになりかねません。そして、苦情があった旨を業者に伝え、二度と同じことが起きないように伝えましょう。
【対策】
・近隣トラブルを防ぐためにできることはやはり事前の挨拶です。
一般に近隣への事前の挨拶は業者が行いますが、施主様自ら直接挨拶を行うことで印象がよく近隣の方も安心感を抱かれます。その際、工事が始まる予定日と工事が完了予定する日はしっかり伝えましょう。
・工事が長引きそうな場合はお声掛けをすることでトラブルに発展することを防ぐことができます。
契約後に追加工事代を請求され高額な費用になった
相場よりも安い金額だったので工事契約をしたが、施工中に「あそこが悪い」「ここも追加工事が必要」と急な指摘に断ることが出来ず泣く泣く追加請求分を支払った。
契約を交わして工事が始まってから工事金額が増えることは避けたいですよね。
悪徳業者にはこの追加工事を利用したものがあり、安い金額で工事を持ち掛け工事に入ってから「追加工事が必要」と言ってきて高額な工事費用を上乗せしたり、何度も追加工事をしてくるというケースがあります。
また、工事中に「ここもついでに塗っておきます」と口頭で軽く伝えられると、サービスで塗ってくれると思いそのまま二つ返事でお願いしてしまうかもしれませんが、悪徳業者の場合、最初の見積もりは格安で契約しておいて工事後になってから追加分を請求してくることもあります。
【対策】
・最初の現場調査を入念にしてもらう
(どの部分を塗るのか、塗らないのか?どのような補修がなぜ必要なのか)
・追加工事が発生した理由をしっかり説明してもらう
・口頭ではなく契約書をきちんと交わす(追加料金に関する取り決めが契約書に記載されているか)
・契約以外の作業はお金が発生するのかどうかを確認する
また少しでも疑問を感じた場合は、一旦工事を止めてもらい、納得できるまで工事を進めないようにしましょう。
ただし、以下のような場合は追加請求されることがあります。
・金額現地調査の時に発見できなかった不具合が発覚した
・施工後にお客様から追加の要望を出した
・施工時に不具合が生じ追加費用が発生した
早期契約を迫られた
「本日中にご契約頂ければ値引きしますよ」「今すぐ外壁塗装をしないと大変なことになる」「特別にモニター価格にします」「足場代をタダ(無料)にします」というようにあの手この手で契約を急がせてくる悪徳な訪問販売が多いのが現実です。結果自分が思っていたタイミングで契約しなかったことを後悔してしまうケースです。
訪問販売が突然来た場合、長々と会話を続けるのは避け、断るときは曖昧な言い方ではなくはっきりと断りましょう。
【対策】
・契約を急がされても絶対にその場での即決はしない。
・クーリングオフ制度について知っておく 。
・外壁塗装費用の相場を知る 。
《もし契約してしまったら・・・ 》
契約後8日以内であればクーリングオフが出来ます。
クーリングオフ期間を過ぎた場合は、不安に感じている事が解決するまで工事に入らないように業者と話し合う。
時間を置いて冷静になることで、おかしな点がなかったかの判断ができるようになります。
施工会社が倒産した
外壁に不具合が発生したので施工してもらった業者に連絡するが、なかなか連絡が付かず調べたところなんとその業者が倒産していた。
工事後、数年で塗装をした施工会社が倒産してしまうケースです。
昨今は、現状では健全な経営がされている会社でも例えば10年後にきちんと会社として存在しているかというのはわからないところがあるのです。
『絶対』という事はなく、いつどのようになるのかは誰にもわかりません。
リスクを回避し「こんなはずでは…」という事態を避けるために倒産後も保証をしてくれる体制を整えている業者を選ぶようにしましょう。
まとめ
家の第一印象を決める外観。外壁塗装をすることで美観を保ち、建物の寿命を延ばすことでも大きく影響するため定期的なメンテナンスは必要となってきます。経年劣化による色あせやシミ、剥がれなどが気になったときは、早めの診断・対応をおすすめします。 しかしながら外壁塗装工事は一回の工事が高額です。何度も出来る工事ではないため失敗は避けたいものです。「費用が安い」という理由だけで業者を選んでしまい後々トラブルになった…ということが多いです。他にも色選びや近隣トラブル、追加工事など原因は様々です。トラブルを未然に防ぐため今回の記事に載せているトラブルになる前の対策をぜひ参考にされてください。少しでも怪しいなと気になることがあれば、ご契約前に一度ほかの外壁塗装業者にも相談して相見積もりをとることをおすすめします。
様々なトラブルを未然に防ぐため、事前に塗装の知識を身につけておかれることが一番の予防策となるのです。