フッ素塗料とは…
一度塗装したら次のメンテナンスまで長持ちする耐久性のある塗料はないだろうか。
非常に丈夫で優れた耐久力と美しい光沢感が魅力のフッ素塗料。シリコン塗料や他の塗料と比較すると圧倒的に機能に差があるフッ素塗料は外壁や屋根の塗料としては、耐久性が高い高級塗料という位置づけにあります。
フッ素加工で焦げ付かないフライパンというのは一度は耳にしたことがあるかもしれません。汚れを寄せ付けずにきれいな状態を保ち塗膜の寿命を高めます。摩擦や熱、汚れの強さは身近なアイテムで証明されていますよね。このように素晴らしい塗料なのになぜフッ素塗料は一般の家庭にあまり普及されていないのか、その理由は価格の高さにあります。そのため家庭用としてはまだ一般的ではありませんが「いい塗料を使いたい」「塗り替える頻度を減らしたい」といった方々には選ばれています。住宅の外壁で一番人気のシリコン塗料の寿命は7~15年です。一方で、フッ素塗料は15~20年も長持ちしますので5~8年の差はかなり大きいですよね。このように耐久性が高いことから何度も塗装が難しいビルなど大きな建物にはフッ素塗料はよく使われています(六本木ヒルズ・東京スカイツリー・横浜レインボーブリッジ・後楽園ホール・国立劇場など)。
フッ素はとても優秀な塗料ですが、当然デメリットもあります。一生に何回も行わない塗装工事。どのような家に向いているのか、どこを塗装するのに適しているのか注意点もしっかり理解した上で最適な塗料を選ぶようにしましょう。
フッ素塗料のメリット
◆耐候性(紫外線に強い)
◆耐久性(密着し剥がれにくい)
◆防カビ・防藻性(汚れが付きにくい)
◆親水性・低汚染性(汚れが落ちやすい)
◆耐摩耗性(光沢が長持ちする)
注目はやはり「耐久性・耐候性」の高さです。変形・変色・劣化しにくい安定性を持っています。耐久年数が高いため塗り替えの回数が少なくて済みます。一回の費用は高くなりますが、結果的にトータルコストを抑えられるというメリットがあります。またフッ素系塗料は光沢感があります。艶があるので建物全体が新築のようにきれいに蘇ります。
フッ素塗料のデメリット
価格が高い
フッ素は高級な塗料ですので、他の塗料に比べると価格が高いです。しかし耐用年数が15~20年と非常に長いので、塗装工事の回数は減ります。そのため、足場や養生にかかる諸費用が節約でき、結果的にフッ素塗料で塗装した方がウレタンやシリコンなどよりも長い期間で考えればトータルコストは削減できると考えられます。
一回の工事費用を安くして数年後に再塗装をするのか、耐用年数の長い塗料でトータルコストを抑えるのかは、ご自身のライフスタイルに合った塗料選びが大事です。
※現在よく使われているシリコン塗料も、ひと昔前までは高額な塗料でしたが、企業努力により低価格化に成功しました。フッ素樹脂塗料に関しても、今後技術の進歩により今より低価格になるときがくるかもしれません。
塗膜が硬く、弾力性がない
フッ素樹脂は他の塗料に比べると塗膜が硬い塗料です。家は地震や強風、車の振動などによって常に動いている状態です。建物が揺れるという事は、もちろん外壁材なども動いています。硬い塗膜の塗料は塗膜が揺れに追随できずに割れてしまいます。
※ひび割れが起きる可能性は、動きに追随できない硬い塗膜が割れる確率は特に高くなります。収縮効果のあるモルタルの外壁には弾性のフッ素塗料を塗るなどの対策もあるので、フッ素塗料を扱っている塗料に詳しい業者に相談することをおすすめします。
外壁屋根を同時施工したとき屋根の方が耐用年数が短い
屋根は外壁と違って日中紫外線を浴びているので、外壁よりも劣化しやすいです。家全体をフッ素塗料で塗装したときに、屋根の劣化が早く、塗り替え時期が先にきてしまうということになります。
劣化時期を考えると、外壁シリコン+屋根フッ素、という組み合わせを検討される方もいらっしゃいます。気になる方はぜひ一度業者に希望を伝えて提案をしてもらいましょう。
※屋根だけでなく目地部分の劣化にも注意が必要です。外壁のフッ素塗料がどれだけ長持ちしても、目地に後打ち(むき出し)で充填されたシーリング材はだいたい5~7年程で打ち替え補修が必要になります。劣化の早い屋根やシーリングなど建物全体の耐用年数も考慮して塗料選びをしましょう。
ツヤを完全に抑えられない
フッ素塗料は艶有りで塗料したら非常に強い艶を持つ塗料です。
艶のあるキラキラした見た目が好きな方であれば問題ありませんがツヤを嫌う方も少なくはありません。フッ素の場合は艶消し塗料がなく、3分艶までしか抑えられないものが多いです。
建物を蘇らせるわけではない
フッ素塗料をはじめ、外壁塗装用の塗料には家の躯体の寿命を延ばす力はなく、外壁材や屋根材の劣化進行を抑えることしかできません。フッ素塗料も同じで耐用年数が長いですが建物の躯体寿命が延びるわけではないのです。
例えば建物自体の寿命が残り5年の家に耐用年数20年の塗料を塗ったとしても、寿命が25年になるわけではないということです。そのため、今後の家の寿命を考えたうえで、適した耐用年数の塗料を選ばなくてはなりません。
塗料別の総塗装回数を調べるなどして家の寿命を考えながら塗料を選びましょう。
塗替え塗料が選びずらい
硬く強固なフッ素樹脂系の塗料は、ツヤや撥水性がとても良く、汚れや雨水も弾いてくれます。しかしそれは他の塗料も上から塗装しようとすると弾いてしまうという事です。
次の塗替えを行う場合、通常の下塗り材ではなく、フッ素樹脂と相性の良い下塗り材をする必要があります。
職人の知識・技術が必要
全ての塗料に言えることですが、塗装工事は職人の知識・技術が重要です。施工の質が悪ければよい塗料をつかってもその性能を発揮することができません。フッ素で塗装をお考えの方は、できれば“フッ素の”施工実績が豊富な業者に依頼するようにしましょう。
※塗装の見積もりを依頼した際「フッ素塗料はうちは扱っていません」と断って、別の塗料をすすめてくる業者があります。こうした業者は、フッ素の知識がない・フッ素を使った経験があまりない業者の可能性が高いので別の業者を探すようにしましょう。
フッ素塗料の価格・費用相場
フッ素塗料で塗装する際の施工価格・費用は、1㎡あたり3,500~4,800円が相場です。
一般的な戸建て住宅30坪を外壁塗装すると100万円以上かかってしまいます。フッ素塗料を選ぶ場合は予算を考えて選ぶ必要があります。ただし耐用年数が15~20年と長いことから、塗り替えの頻度は少なくて済むため、長く住み続ける住宅であれば決して高い買い物ではないと言えます。
フッ素塗料トラブル
フッ素樹脂が少量しか入っていない安価なフッ素塗料を勧めてくる悪徳業者もいるので、注意が必要です。
きちんと配合された量でなければフッ素塗料の性能は発揮されません。いずれにしても、素人が良い塗料かどうかを判断するのは非常に難しいことです。
フッ素塗料での外壁塗装の実績・経験があり信頼できる塗装業者を探すことが最も重要になります。
できれば複数の塗装業者に見積もりを依頼し、提案される内容や概算費用を比較してみることをおすすめします。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回はフッ素塗料についてお話させていただきました。
塗料の中でもフッ素塗料はとても優秀な塗料になります。塗装費用は高額になりますが、他の塗料に比べると耐久性・耐候性・防カビ防藻性など圧倒的高さと長期的な視点で外壁を美しく長持ちさせたい方にはおすすめの塗料と言えます。
もし、建物自体の寿命が短い場合や、数年後に建て替えまたは引っ越しの可能性が高い場合は、フッ素塗料はあまりおすすめしません。
長い目で見て総合的なコストをとるか、1回の施工単価を抑え定期的に塗り替えをするかは人それぞれです。メリット・デメリットを見極めて塗料を選ぶようにしましょう。
外壁塗装は高い費用になりますので、工事費用をお安く抑える事は基本ではありますが、メンテナンスや寿命の事を考慮して1番適した塗料を選定するようにしましょう。