更新日:2026年9月24日

「外壁塗装は、塗料を何回塗るかが大切なのでは?」
「見積書に“下地処理”とあるけれど、実際には何をするの?」
外壁塗装というと、下塗り・中塗り・上塗りといった「塗る工程」を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、その前に行うのが下地処理です。
下地処理とは、塗料を塗る前に外壁や屋根の汚れ・傷み・サビ・ひび割れなどを確認し、塗装できる状態へ整える作業です。
ただし、すべての住宅で同じ下地処理を行うわけではありません。
サイディングなのか、モルタルなのか、金属部分なのか。さらに現在どのような劣化が起きているかによって、必要な作業は変わります。
この記事では、外壁塗装や屋根塗装の前に行う下地処理について、一般のお客様にも分かりやすく解説します。
外壁塗装の「下地処理」とは?
下地処理は、簡単にいうと「塗料を塗れる状態に整えるための準備」です。
年数が経った外壁には、さまざまな変化が起きています。
- ホコリや汚れが付着している
- コケや藻が発生している
- 古い塗膜が浮いたり剥がれたりしている
- ひび割れが発生している
- コーキングが傷んでいる
- 鉄部にサビが出ている
- 外壁の一部が欠けている
こうした状態を確認せず、その上からそのまま塗料を重ねればよいわけではありません。
まず、塗装する面を洗浄したり、剥がれかけた塗膜を除去したり、必要な部分を補修したりしてから塗装工程へ進みます。
どのような下地処理が必要なのかを判断することも、塗装工事の大切な工程の一つです。
下地処理をせずに塗装するとどうなる?
下地処理が必要な状態なのに、そのまま塗装を進めると、塗料が十分に密着しにくくなることがあります。
たとえば、ホコリや劣化した古い塗膜が残った上から塗装した場合、塗料は外壁そのものではなく、汚れや弱くなった旧塗膜の上に付くことになります。
また、サビが残った鉄部や、補修が必要なひび割れをそのまま塗っても、塗装だけで元の状態まで直せるとは限りません。
ポイント
下地処理は「見た目をきれいにするためだけの作業」ではありません。
このあと行う塗装を進めるために、現在の下地を整える工程と考えると分かりやすいでしょう。
「下地処理」と「下塗り」は同じではありません
名前が似ているため、特に分かりにくいのが下地処理と下塗りの違いです。
この2つは別の工程です。
| 工程 | 主な内容 | イメージ |
|---|---|---|
| 下地処理 | 洗浄・ひび割れ補修・ケレン・サビ処理など | 塗装前に現在の状態を整える |
| 下塗り | シーラー・フィラー・プライマーなどを塗る | 次に塗る仕上げ塗料へつなぐ |
一般的には、
洗浄・補修などの下地処理 → 下塗り → 中塗り → 上塗り
という流れで進めていきます。
ただし、実際の工程は建物の状態や使用する材料、施工箇所によって異なります。
シーラー・フィラー・プライマーの違いを知りたい方はこちら
外壁塗装で行う主な下地処理
では、実際にどのような作業を行うのでしょうか。
代表的な下地処理を見てみましょう。
高圧洗浄|汚れやコケなどを洗い流す
塗装前には、高圧洗浄機を使って外壁や屋根を洗浄します。
表面には、目で見える汚れだけではなく、ホコリ、コケ、藻、劣化した塗膜などが付着していることがあります。
それらをできる範囲で落とし、次の作業へ進みやすい状態に整えます。
高圧洗浄=ただ家をきれいにする作業ではありません。
塗装する面を整えるための下地処理の一つです。
ただし、外壁材や劣化状態によっては、水圧を調整したり、施工方法を変えたりする必要があります。
ひび割れ補修|大きさだけでなく状態を見る
モルタル外壁などでは、ひび割れが見つかることがあります。
ここで注意したいのは、「ひび割れ=すべて同じ補修方法」ではないということです。
細かな表面的なひび割れと、幅が大きいひび割れ、動きがあるひび割れでは、確認すべき内容が異なります。
ひび割れの状態によっては、補修材を充填したり、周辺を整えてから補修したりすることがあります。
また、ひび割れが何度も発生している場合などは、単に表面を埋めるだけではなく、原因を確認することも大切です。
「何mmなら必ずこの補修」と数字だけで判断するのではなく、外壁材・ひび割れの状態・発生している場所などを見て補修方法を決めます。
コーキング補修|サイディング外壁で確認したい部分
窯業系サイディングの住宅では、外壁材の継ぎ目や窓まわりにコーキングが施工されています。
年数が経つと、
- ひび割れ
- 肉やせ
- 剥がれ
- すき間
- 硬化
などが見られることがあります。
外壁塗装と一緒にコーキング工事を行う場合は、場所や状態に応じて「打ち替え」や「増し打ち」などの方法を選びます。
なお、コーキングについては施工方法だけで一律に良し悪しを決めるものではありません。
どの場所をどの方法で施工するのかを確認することが大切です。
ケレン|古い塗膜やサビを整える
雨戸、鉄骨、金属製の庇などでは、「ケレン」と呼ばれる作業を行うことがあります。
ケレンでは、サンドペーパーや工具などを使って、サビや剥がれかけた古い塗膜を除去したり、表面を整えたりします。
ただ塗料を上から塗るのではなく、現在の状態を確認してから塗装できる状態へ整えていきます。
鉄部では「サビ止めを塗ること」だけでなく、その前にどのようにサビや旧塗膜を処理するかも重要です。
欠け・浮き・剥がれなどの補修
外壁の一部が欠けていたり、塗膜が浮いたりしている場合は、その状態に応じた補修が必要になることがあります。
使用する補修材や施工方法は、外壁材や傷み方によって異なります。
ここでも大切なのは、何でも同じ材料で埋めるのではなく、「どこが、どのように傷んでいるのか」を見て方法を決めることです。
すべての家で同じ下地処理をするわけではありません
「下地処理には高圧洗浄、ひび割れ補修、ケレン、コーキングが必要」と読むと、すべての住宅ですべての作業を行うように感じるかもしれません。
実際にはそうではありません。
建物に使われている素材と劣化状態によって必要な作業は変わります。
| 場所・素材 | 確認することの例 |
|---|---|
| サイディング外壁 | 目地・コーキング、ひび割れ、欠け、反りなど |
| モルタル外壁 | ひび割れ、浮き、欠損、旧塗膜の状態など |
| 金属部分 | サビ、剥がれ、旧塗膜の状態など |
| 木部 | 旧塗膜、表面の荒れ、傷みなど |
| 屋根 | コケ・汚れ、サビ、ひび割れ、屋根材の状態など |
つまり、下地処理で確認したいのは「たくさん作業しているか」ではありません。
その家に必要な処理が選ばれているかです。
屋根塗装でも下地処理は必要?
屋根塗装でも考え方は同じです。
屋根材には、スレート、金属屋根などさまざまな種類があり、必要な処理も異なります。
たとえばスレート屋根では、コケや汚れを洗浄したうえで、ひび割れや欠けがあれば状態を確認します。
金属屋根では、サビや旧塗膜の状態を確認し、必要に応じてケレンなどを行ってから塗装工程へ進みます。
外壁も屋根も、「洗って塗るだけ」と考えるのではなく、塗装前に現在の状態を確認して必要な処理を行うことが基本です。
見積書に「下地処理一式」とあったら何を確認する?
外壁塗装の見積書では、
下地処理 一式 ○○円
のように記載されている場合があります。
「一式」と書かれていること自体で良し悪しを判断する必要はありません。
ただ、内容が分からない場合は、施工前に確認しておくと安心です。
このように聞くと確認しやすいです
「下地処理一式とありますが、うちの場合は具体的にどの部分を、どのように処理しますか?」
「下地処理をします」という説明だけではなく、
- どこに傷みがあるのか
- どのような処理をするのか
- なぜその処理が必要なのか
まで分かると、工事内容を理解しやすくなります。
見積書全体の確認方法を知りたい方はこちら
下地処理は完成すると見えにくくなる工程
下地処理を行ったあとに下塗り・中塗り・上塗りを重ねると、その多くは完成後に見えなくなります。
だからこそ、「完成後に自分で確認すればよい」と考えるよりも、工事前や施工中に内容を把握しておく方が分かりやすいでしょう。
たとえば、
- 現地調査時に劣化箇所を写真で確認する
- 見積書で補修内容を確認する
- 工事前にどの部分を補修するのか説明を受ける
- 施工中の写真を残してもらう
といった方法があります。
見るべきなのは「下地処理をしたか」という言葉だけではありません。
自宅のどこに、なぜ、どのような処理が必要なのかを確認することがポイントです。
下地処理が気になるとき、業者に聞きたい3つのこと
専門的な施工方法まですべて理解する必要はありません。
気になる場合は、次の3つを確認してみましょう。
① どこに下地処理が必要ですか?
まず、現在どこが傷んでいるのかを確認します。
② そこにはどのような処理をしますか?
洗浄、ひび割れ補修、ケレンなど、予定している作業を確認します。
③ なぜその処理が必要ですか?
作業名だけでなく、その家に必要な理由まで聞くと工事内容が理解しやすくなります。
この3点が分かれば、専門用語をすべて覚えなくても、下地処理の内容をかなり理解しやすくなります。
まとめ|下地処理は「何をしたか」だけでなく「なぜ必要か」を確認
外壁塗装や屋根塗装では、仕上げ塗料を塗る前に、現在の状態に合わせた下地処理を行います。
代表的な作業には、高圧洗浄、ひび割れ補修、コーキング補修、ケレン、欠損部分の補修などがあります。
ただし、すべての住宅ですべての作業を行うわけではありません。
外壁材や屋根材、現在の劣化状態によって必要な処理は変わります。
下地処理で大切なのは、「たくさん工程があるか」ではなく、その家の状態を確認し、塗装前に必要な処理が行われることです。
見積書に「下地処理一式」と書かれていて内容が分からない場合は、「うちではどの場所に、どのような処理をしますか?」と確認してみましょう。
工事前に内容を理解しておけば、完成すると見えにくくなる下地処理についても、納得したうえで塗装工事を進めやすくなります。




















