
家を少し離れたところから眺めてみます。
外壁の色は、まだきれいです。
大きなひび割れも見当たりません。
苔で緑色になっているわけでも、塗装がボロボロ剥がれているわけでもありません。
「まだ塗装は必要なさそう」
そう思っていました。
ところが、家を見てもらったときに言われたのは、
「そろそろ塗り替えを考えてもよい時期ですね」
という言葉でした。
「え? こんなにきれいなのに?」
思わず、もう一度外壁を見ます。
昨日まで何とも思っていなかった壁です。
見た目は変わっていません。
それなのに、なぜ塗り替え時期だと言われたのでしょうか。
「築年数だけで言っているのかな」
「塗装工事を勧めたいだけでは?」
そんな疑問も浮かびます。
担当者はすぐに答えを出すのではなく、まず家から少し離れたところで建物全体を眺めていました。
そして、そのまま外壁の近くへ歩いていきます。
遠くから見ると、やっぱりきれいです
家の正面に立つと、色あせもそれほど気になりません。
汚れも少なく、
「やっぱり、まだ大丈夫そう」
という印象です。
担当者も、正面を見ただけで「塗装が必要です」とは言いません。
少し近づき、外壁の表面を見ながら、
「ここを軽く触ってみてもらえますか」
と言いました。
手のひらで壁をなでてみます。
指先を見ると、うっすら白っぽい粉が付いていました。
「これ、汚れですか?」
それまで外壁を見ていても、まったく気づかなかった変化です。
担当者から聞いたのは、
見た目がきれいでも、塗膜の表面には変化が出ていることがある
ということでした。
ただし、白い粉が付いたからといって、それだけで、
「今すぐ全面塗装です」
と決まるわけではありません。
大切なのは、ここだけを見るのではなく、ほかの場所も合わせて見ていくことでした。
壁の次に見たのは「目地」でした
担当者が次に見ていたのは、外壁そのものではありません。
サイディングとサイディングの間にある目地でした。
普段、家を見るときにはあまり気にしない場所です。
言われて近くで見てみると、
「ここ、少し細かく割れているように見えますね」
確かに、正面から家全体を見ていたときには分からなかった変化があります。
外壁はまだきれい。
でも、外壁と外壁の間には別の変化が出ている。
「家って、壁の色だけ見ても分からないんですね」
そんなことを思いました。
ここでも、
「だから全部塗り替えましょう」
とはなりません。
この部分は今どの程度なのか。
まだ様子を見られるのか。
ほかの場所にも同じような変化が出ているのか。
家全体を見ながら判断していきます。
家の裏側へ回ると、少し印象が変わりました
次に、家の裏側へ回ってみます。
玄関側は明るく、比較的きれいでした。
ところが、裏側へ回ると少し雰囲気が違います。
日当たりが少ない場所。
植木に近い場所。
雨が当たりやすそうな場所。
正面では気にならなかった汚れが、こちらでは少し目立ちます。
逆に、日差しを強く受ける側では、色が少し薄くなって見えるところもありました。
同じ家なのに、見る面によって外壁の様子が違います。
考えてみれば、家の四方すべてが同じ環境にあるわけではありません。
朝日が当たる面。
午後の日差しを長く受ける面。
乾きやすい場所。
湿気が残りやすい場所。
普段は玄関側ばかり見ていたので、
「この家の外壁はまだきれい」
と一つにまとめて考えていました。
でも、家を一周してみると、
「きれいな面」と「少し変化が出ている面」がある
ということが分かってきます。
「ここにもありますね」と言われて、初めて気づいた線
さらに外壁を見ていくと、担当者が一本の細い線を指さしました。
「ここ、少しひびが入っています」
近くまで行って、やっと分かる程度の細さです。
「こんな小さいものでも気にした方がいいんですか?」
と聞いてみます。
答えは、
「これ一本だけで、すぐ大きな工事が必要ということではありません」
というものでした。
少し安心します。
でも同時に、
「では、どうやって判断するんですか?」
という疑問も出てきます。
細いひびが一つだけなのか。
同じようなものが何か所もあるのか。
表面だけなのか。
周囲にも変化が出ているのか。
一つの症状だけで決めるのではなく、ほかの状態と一緒に見ていくそうです。
ここまで家を見てきて、少しずつ分かってきました。
最初は、
「塗装が必要かどうかを判断するために、傷んでいる場所を探している」
と思っていました。
でも実際は、
今すぐ対応した方がよいところと、まだ様子を見られるところを分けている
という方が近いのかもしれません。
「築10年だから」という話ではありませんでした
途中で、築年数についても聞かれました。
外壁塗装では「10年くらい」という言葉を聞くことがあります。
そのため、
「やっぱり築年数で決めているのかな」
と思いました。
でも、話を聞いてみると、築年数はあくまで一つの情報でした。
同じ築年数でも、
日当たりも違えば、
雨の当たり方も違う。
使われている外壁材や塗料も違う。
以前どのようなメンテナンスをしてきたかも違います。
だから、
「築10年になったから塗装」
と、それだけで決めるわけではありません。
反対に、まだそれほど年数が経っていなくても、場所によっては変化が早く出ることがあります。
ここまで説明を聞いて、
最初に感じていた、
「年数だけを見て工事を勧められているのでは?」
という疑問は少し薄れていきました。
最後に聞いたのは「今すぐ塗る必要がありますか?」
家を一周して、
外壁を触って、
目地を見て、
裏側へ回って、
小さなひびも確認しました。
そこで、最初から一番気になっていたことを聞いてみます。
「では、今すぐ塗装した方がいいんですか?」
ここで知りたかったのは、
「塗るべきです」
という答えではありません。
なぜ今なのか。
どこが気になっているのか。
まだ待てる場所はないのか。
そういうことです。
確認すると、
「ここは今すぐ大きな工事が必要という状態ではありません」
という場所もあれば、
「この部分は今後も見ておいた方がいいですね」
という場所もありました。
家全体が、
「大丈夫」
か
「塗装が必要」
かの二択ではないことが分かります。
状態は場所ごとに少しずつ違い、
その積み重ねを見ながら、
「そろそろ塗り替えを考えてもよい時期」
という判断につながっていました。
最初に見た家は、何も変わっていません
もう一度、最初と同じ場所から家を眺めてみます。
外壁の色は、まだきれいです。
家の見た目も、さっきと何も変わっていません。
でも、今度は見るところが少し変わりました。
壁の色だけではなく、
触ったときの表面。
目地の状態。
正面と裏側の違い。
近くで初めて見つけた細いひび。
最初は、
「きれいだから、まだ大丈夫そう」
と思っていました。
でも、外壁塗装の時期は、
「きれいか、汚れているか」
だけで決まるものではないようです。
かといって、
「築10年だから」
だけで決まるわけでもありません。
大切なのは、
今の家に、どんな変化が出ているのか。
そして、
その変化は今対応した方がよいのか、もう少し様子を見てもよいのか。
そこを確認してから考えることでした。
最初の疑問は、
「こんなにきれいなのに、なぜ塗り替え時期なの?」
でした。
家を一周してみて分かったのは、
見た目のきれいさだけでは、外壁の状態すべては分からない
ということです。
だからこそ、
「そろそろ塗り替え時期です」
と言われたときは、その言葉だけで決める必要はありません。
「どこを見て、そう判断したのですか?」
と聞いてみてください。
「業者は実際にどこを見ているの?」と思った方へ
外壁塗装の見積もり前に行う現地調査では、外壁だけでなく、コーキングや付帯部、建物の形、足場を組む環境なども確認しています。
その理由を一緒に確認できれば、
今塗るのか。
もう少し待つのか。
一部だけ先に補修するのか。
自分の家に合った判断が、少ししやすくなるはずです。




















