外壁塗装の見積書を見ていると、コーキング工事の欄に「外壁目地 打ち替え」「窓まわり 増し打ち」「コーキング工事 一式」など、さまざまな書き方がされていることがあります。
そのとき、
「打ち替えと増し打ちが混ざっていても大丈夫なの?」
「一式と書かれているけれど、どこまで施工するの?」
「他社より金額が安いけれど、工事内容も同じなのだろうか」
と疑問を感じる方もいらっしゃると思います。
コーキング工事の見積書を比べるときは、1メートルあたりの単価や合計金額だけを見るのではなく、施工する場所や工法、施工数量、使用する材料など、工事内容全体を確認することが大切です。
同じ建物の見積りであっても、外壁目地だけを施工するのか、窓まわりや入隅まで含むのかによって、施工する長さや金額は変わります。
また、サイディング外壁の目地では打ち替え、窓まわりでは増し打ちというように、場所によって工法を使い分けることも珍しくありません。
この記事では、コーキング工事の見積書を受け取ったときに、どの項目を、どの順番で確認すればよいのかを分かりやすくご説明します。
この記事で分かること
- 打ち替えと増し打ちが見積書に分けて記載される理由
- コーキング工事の施工範囲や工法の確認ポイント
- 見積書の施工数量(m)が業者によって異なる理由
- 見積書で確認したいポイントと質問のしかた
- 工事内容を比較して見積りを選ぶポイント
※コーキングの「増し打ち」は、「打ち増し」と表記されることもあります。この記事では「増し打ち」に統一してご説明します。
1.コーキングの見積書は金額だけでは比較できません
複数の業者から見積りを取ると、コーキング工事の金額に差が出ることがあります。
たとえば、一方の見積書では20万円、もう一方では30万円と書かれていると、安い方に目が向きやすくなります。
しかし、金額だけでは工事内容が同じかどうかは分かりません。
コーキング工事の費用は、主に次の内容によって変わります。
施工する場所
外壁目地だけなのか、窓まわりや入隅まで含まれているのかによって、施工範囲が変わります。
打ち替えと増し打ちの工法
既存材を撤去する打ち替えと、既存材を残す増し打ちでは、必要な工程が異なります。
施工するコーキングの長さ
建物の大きさだけでなく、窓の数や外壁の形、目地の多さによって施工数量が変わります。
撤去費の記載方法
打ち替えでは、古いコーキング材の撤去費が単価に含まれている場合と、別項目になっている場合があります。
使用するコーキング材
使用する材料の種類や商品によっても、見積金額が異なることがあります。
外壁目地だけを施工する見積りと、窓まわりや入隅まで施工する見積りでは、金額が違って当然です。
見積書を比較するときは、最初に金額を見るのではなく、工事内容が同じ条件になっているかを確認しましょう。
大切なポイント
見積金額が違うときは、単価の高い・安いだけで判断せず、施工する場所と数量を先に確認します。
2.打ち替えと増し打ちは使い分けられます
見積書に「外壁目地は打ち替え」「窓まわりは増し打ち」と書かれていると、工法が統一されていないように感じるかもしれません。
しかし、コーキングは施工する場所の形や構造によって、適した工法が異なります。
サイディング外壁の継ぎ目にある縦目地は、古いコーキング材を取り除き、新しい材料を入れるための空間を確保しやすい部分です。そのため、既存材を撤去して新しいコーキング材を充填する「打ち替え」が選ばれることが多くなります。
一方、窓サッシのまわりや外壁の入隅は、奥に防水テープや防水紙などが納まっている場合があります。古いコーキング材を無理に深くまで撤去すると、周囲の部材を傷つける可能性があるため、既存材の状態を確認したうえで「増し打ち」が選ばれることがあります。
打ち替え
古いコーキング材を撤去し、目地内部を整えてから、新しいコーキング材を充填する方法です。
外壁目地など、古い材料を取り除きやすい場所で多く選ばれます。
増し打ち
既存のコーキング材を残し、表面を整えたうえで、新しいコーキング材を重ねる方法です。
窓まわりや入隅など、古い材料の撤去が難しい場所で選ばれることがあります。
| 比較項目 | 打ち替え | 増し打ち |
|---|---|---|
| 施工方法 | 古いコーキング材を撤去してから、新しい材料を充填する | 既存材を残し、その上から新しい材料を重ねる |
| 選ばれやすい場所 | サイディング外壁の縦目地など | 窓まわりや入隅など |
| 撤去作業 | あり | 原則として大きな撤去は行わない |
| 費用の傾向 | 撤去作業があるため、増し打ちより高くなる傾向がある | 打ち替えより工程が少なく、費用を抑えやすい傾向がある |
打ち替えと増し打ちの違いや、施工場所による考え方については、コーキングの打ち替えと増し打ちの違いを解説した記事で詳しくご紹介しています。
増し打ちだから手抜きとは限りません
増し打ちは、単に費用を安くするためだけに選ばれる工法ではありません。
施工場所の構造や既存材の状態を見たうえで、周囲の部材を傷めないために選ばれることがあります。
見積書では、打ち替えか増し打ちかだけを見るのではなく、どの場所に、なぜその工法を使うのかを確認することが大切です。
3.まずはコーキングを施工する場所を確認します
コーキング工事の見積書を見るときは、どの場所が施工範囲に含まれているかを確認します。
主な施工場所には、次のようなものがあります。
- サイディング外壁の縦目地
- 窓サッシのまわり
- 外壁の入隅
- 玄関ドアのまわり
- 配管や換気口のまわり
- ベランダまわり
- 外壁材と付帯部の取り合い部分
業者によっては、外壁目地だけを見積りに含め、窓まわりは別項目にしている場合があります。
反対に、外壁目地と窓まわりをまとめて「コーキング工事一式」と記載していることもあります。
そのため、見積書の項目名だけでは施工範囲が分からない場合があります。
見積書で確認したいこと
- 外壁目地はすべて施工するのか
- 窓まわりは施工範囲に含まれているか
- 入隅や配管まわりも施工するのか
- 施工しない場所がある場合、その理由は何か
見積書に詳しい記載がない場合は、建物の図面や写真を見ながら説明してもらうと分かりやすくなります。
4.「一式」と書かれている場合は内容を確認しましょう
コーキング工事の見積書に「一式」と書かれていることがあります。
一式表記だから、すぐに問題があるというわけではありません。
建物の形が複雑で数量を細かく分けにくい場合や、別紙の見積明細に詳しい内容が書かれている場合もあります。
ただし、「コーキング工事一式」だけでは、どこまで施工するのか判断できません。
一式と書かれている場合は、次の内容を確認しましょう。
施工する場所
打ち替えと増し打ちの範囲
施工するおおよその長さ
使用するコーキング材
一式表記でも内容が分かれば比較できます
見積書の書き方は業者によって異なります。一式表記でも、担当者から施工場所や数量について具体的な説明があり、工事内容を確認できれば比較することはできます。
5.施工する長さが業者によって違うことがあります
コーキング工事では、施工数量を「m(メートル)」で表します。
見積書では、施工する場所や工法ごとに数量が記載されるのが一般的です。
見積書の比較例
| 工事項目 | A社 | B社 |
|---|---|---|
| 外壁目地 打ち替え | 150m | 158m |
| 窓まわり 増し打ち | 80m | 80m |
同じ建物でも、このように業者によって施工数量が異なることがあります。
これは、必ずしも計測ミスとは限りません。
数量が異なる主な理由として、次のようなことが考えられます。
- 窓まわりをどこまで施工範囲に含めるか
- 外壁の入隅(建物の角)を含めて計測しているか
- 玄関や配管まわりを施工範囲に含めているか
- 施工しない目地を除いているか
- 打ち替えと増し打ちをどのように区分しているか
建物の大きさが同じでも、窓の数や外壁の形状、目地の配置によって施工する長さは変わります。また、業者ごとの施工範囲の考え方によっても数量に差が出ることがあります。
数量に差があるときの確認方法
見積書の数量が大きく異なる場合は、
「この数量には、どの場所まで含まれていますか?」
と確認してみましょう。
メートル数だけを比べるのではなく、どこまでを施工範囲として計測しているのかを確認することが大切です。
また、打ち替え工事では、撤去費を単価に含める業者と別項目で記載する業者があります。1mあたりの単価だけで判断せず、工事全体の内容や金額を比較すると安心です。
コーキング補修の費用相場や、打ち替えと増し打ちで金額が変わる理由については、外壁コーキング補修の費用相場を解説した記事で詳しくご紹介しています。
6.使用するコーキング材も確認しておきましょう
見積書には、使用するコーキング材の商品名や種類が記載されていることがあります。
ただし、「高耐久コーキング」「変成シリコン」といった大まかな記載だけの場合もあります。
コーキング材にはさまざまな種類があり、施工場所や上から塗装するかどうかによって、選ばれる材料が異なります。
見積書を見る際は、次の内容を確認しておくと安心です。
- 使用する材料名
- メーカー名
- 上から塗装できる材料か
- 外壁塗料との相性
- どの場所に使用するのか
高価な材料であれば必ずよいというわけではありません。
施工場所に適した材料であることに加え、必要な厚みを確保して施工されることが大切です。
7.見積書はこの順番で比べると分かりやすくなります
コーキング工事の見積書を比較するときは、次の順番で確認すると、工事内容の違いが分かりやすくなります。
1.施工する場所
外壁目地、窓まわり、入隅など、どこまで含まれているかを確認します。
2.施工方法
それぞれの場所が、打ち替えか増し打ちかを確認します。
3.施工数量
コーキングを施工する部分の合計の長さを確認します。
4.見積りに含まれる作業
打ち替え工事の場合は、古いコーキング材の撤去など、どこまでの作業が見積りに含まれているか確認します。
5.使用する材料
商品名や材料の種類、使用する場所を確認します。
6.単価と合計金額
工事内容をそろえたうえで、最後に単価や合計金額を比較します。
先に金額だけを比べると、施工範囲が少ない見積りを安いと判断してしまうことがあります。
まずは工事内容をそろえ、その後に金額を見るようにしましょう。
8.見積書で分からない部分は契約前に確認しましょう
見積書を見ても工事内容が分からない場合は、専門用語を使って細かく質問する必要はありません。
まずは、次の3点を確認してみましょう。
どの場所が施工範囲に含まれていますか?
打ち替えと増し打ちは、どの場所で使い分けますか?
見積金額には、どこまでの作業が含まれていますか?
この3点を確認すると、施工範囲や工法の違い、見積りに含まれる作業内容を把握しやすくなります。
可能であれば、建物の写真や図を見ながら説明してもらうと、施工範囲をより理解しやすくなります。
確認するポイント
すべての項目を細かく質問する必要はありません。施工範囲・工法・見積りに含まれる作業の3点を契約前に確認しておくと安心です。
9.まとめ|金額だけでなく工事内容も確認しましょう
コーキング工事の見積書を比較するときは、金額だけで判断するのではなく、施工範囲や工法、施工数量、使用する材料など工事内容全体を確認することが大切です。
特に、打ち替えと増し打ちは施工する場所によって使い分けられるため、どの部分をどの工法で施工するのかを確認しておくと安心です。
見積書で分からない点があれば、施工範囲や工法について業者に説明してもらい、納得したうえで契約しましょう。
工事内容をそろえて比較することで、自宅に合った見積りを選びやすくなります。








