外壁塗装の現場で、建物全体をぐるっと囲んでいる黒やグレーのネット状のシート。
これは「メッシュシート」と呼ばれ、足場に取り付ける大切な安全設備のひとつです。
「本当に必要なの?」「費用が高くなるだけでは?」と感じる方もいるかもしれませんが、実はこのメッシュシート、建物やご近所を守るために欠かせない役割を果たしています。
この記事では、
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メッシュシートは何のために使うのか?
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設置しないとどうなるのか?
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よくあるトラブルや注意点
といったポイントを、専門業者の目線でわかりやすく解説します。
「余計な費用なのでは?」と思っていた方も、最後まで読んでいただければ「なるほど、これは必要なんだ」と納得していただけるはずです。
メッシュシートとは?
素材と構造の特徴
メッシュシートは、ポリエチレンやポリエステルという軽くて丈夫なプラスチック素材でできています。
たとえば、エコバッグやレジャーシートにも使われるような、丈夫だけど柔らかい素材をイメージすると分かりやすいでしょう。
もちろん、外壁塗装の現場は「風・雨・太陽の光」にさらされる過酷な環境。
そのため、紫外線や雨風に強く、破れにくいように作られています。長期間の工事でも安心して使える素材です。
「メッシュ」になっている理由
よく「どうして布じゃなくて、網目状なの?」と聞かれます。
それは、風の通り道を作って安全性を高めるためです。
例えば、ベランダにシーツを干していて強風が吹いた時、シーツがバサッと大きく膨らんでしまいますよね?
もし足場を完全な布で覆っていたら、それと同じように「風を全部受け止めてしまう」んです。
その結果、足場ごと風で倒れる危険があります。
でも、メッシュシートなら細かな網目から風が抜けるので、強風の日でも安全。
一方で、塗料やホコリのような「細かいもの」はしっかりキャッチして、外に漏れ出ないようになっています。
メッシュシートの役割
外壁塗装の現場でメッシュシートを張るのは、見た目のためではなく「安全」と「ご近所への配慮」のため。
では、具体的にどんな役割があるのでしょうか?
飛散防止(塗料・ほこり)
塗装作業では、スプレーやローラーで塗るときに、どうしても細かい塗料の粒子(ミスト)が空気中に舞ってしまいます。
たとえば、スプレー缶をシューッと吹きかけた時、意外と遠くまで飛び散ること、ありますよね?
この飛び散った塗料やホコリが、近くに停めてある車やお隣さんの壁に付いてしまったら大変。
メッシュシートは、それらをしっかりブロックしてくれます。
落下物の防止(工具・ごみなど)
職人さんが高い足場で作業していると、ふとした拍子に工具や部品を落としてしまうことも。
そんな時でも、メッシュシートがあると地面まで落ちずにキャッチしてくれるんです。
車や人に当たってしまう事故を未然に防げる、大事な安全対策ですね。
近隣への配慮(車・住宅・歩行者)
外壁塗装は自分の家の工事でも、実はご近所さんに迷惑をかけるリスクもある作業。
ご近所の車や庭、洗濯物、通行人…
そういった身近なものを守るためにも、メッシュシートは欠かせません。
メッシュシートを設置しないとどうなる?
メッシュシートは、建物やご近所を守るための大切な設備ですが、
「本当に張らないといけないの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
では、もしメッシュシートを設置しなかったら、どんなことが起こるのでしょうか?
実際によくあるトラブル例をご紹介します。
ご近所への塗料飛散
風に乗って塗料のミストやホコリが隣の家や車に付着してしまうことがあります。
車のボディや外壁にペタッと塗料がついてしまうと、簡単には落とせません…。
「ご近所からクレームが入った…」というケースも、実際に発生しています。
高圧洗浄時の水飛びによる被害
塗装前に行う高圧洗浄では、水しぶきが思った以上に広範囲に飛び散ります。
風に流された水が、近くの車や洗濯物にかかってしまい、クレームになることも。
塗料だけでなく、水の飛び散りにも注意が必要です。
工具の落下で車に傷
高い足場から誤って工具や部品を落としてしまい、
下に停めていた車の屋根やボンネットにキズがついた…なんてことも。
歩行者に当たれば、けがをさせてしまう危険もあります。
苦情やトラブルの元になる
こうした問題が起きると、工事後にご近所トラブルが残ることも…。
場合によっては補修や謝罪対応に、時間や費用がかかってしまいます。
安全や配慮を怠った印象を与えてしまい、施工会社やお施主様の信頼にも関わってきます。
メッシュシートは「予防」のための大事な設備
これらのトラブルを未然に防ぐために、メッシュシートはとても重要な役割を果たしています。
見た目以上に、「工事の安全」「ご近所トラブル防止」のために欠かせないものなのです。
メッシュシート設置の費用は?
ここまで読んで、
「そんなに大事なのはわかったけど、結局いくらかかるの?」
「オプション料金で費用が増えるんじゃ…?」
と気になる方も多いかもしれません。
ご安心ください。メッシュシートの設置費用は、一般的には「足場代」に含まれているんです。
項目 | 内容 |
---|---|
一般的には足場代に含まれている | 塗装工事では足場と一緒にメッシュシートも設置します。 基本的に足場代に含まれており、別料金になることはほとんどありません。 |
外すことは基本的にできない理由 | 「安全」「ご近所への配慮」「作業環境の保護」のため、メッシュシートは必須。 外して工事することは基本的にありません。 |
よくある質問(Q&A)
Q. 雨や風の日でもメッシュシートは使う?
A. 小雨や通常の風なら、基本的にそのまま使用します。
ただし、台風や強風警報が出ている場合には、安全のため一時的に取り外すこともあります。
Q. 風通しが悪くならない?
A. メッシュシートは細かい網目状なので、風を通しつつ塗料やほこりだけを防ぎます。
蒸れたり、空気がこもる心配はありません。
Q. 防犯上は大丈夫?
A. 足場があることで不安に思われる方もいるかもしれませんが、
多くの店舗では、センサーライトの設置や戸締まり確認、足場周囲の囲いなど、防犯対策も実施しています。店舗ごとに対応内容が異なる場合がありますので、
ご不安な方は事前にお気軽にご相談ください。
塗装期間中も安心していただけるよう、できる限り配慮しています。
まとめ|メッシュシートは“見えない安心”を支える存在
外壁塗装工事で使われるメッシュシートは、
ただ「建物を囲むだけ」のものではありません。
工事現場から
・塗料やホコリが飛び散るのを防ぐ
・工具などが落ちるのを防ぐ
・職人さんの安全を守る
・ご近所や周囲の環境を守る
こうした、目に見えにくい “安心” を支える大切な存在です。
これから外壁塗装を検討される方は、
メッシュシートがしっかり張られているか、
安全管理が行き届いているか、ぜひ確認してみてください。