防水工事はなぜ必要なのか
四季折々の彩りに包まれ自然豊かな日本。 しかし、この自然環境が時に猛暑、台風・積雪などの脅威をふるうことがあります。最近は異常気象により、屋根や外壁の環境はとても厳しいものがあります。
ふと気が付くと外壁に細いひび割れが…そこから雨漏りにならないか…?などの不安を感じることはありませんか?ひびが浅くても深くても、雨水が通る道ができてしまえば、家の中に雨水が侵入してしまいます。 外壁は防水工事ではなく、「塗装」によって防水性を持たせることが出来ます。塗膜(塗装の膜)が外壁をコーティングすることによって、雨水が滑り落ち、内側に浸入しづらくします。塗膜には建物を保護し、劣化速度を速める水(雨)・紫外線によるダメージから家を守る働きがあります。
家は年月とともに少しずつ劣化していきます。防水性に特化した塗料や汚れにくい塗料を使用して 、定期的な塗り替えや補修を行ない、防水機能を維持することが重要です。
外壁塗装の目的は「美観をよくすること」「建物を保護すること」です。
塗装で建物を保護する
建物にとって一番厄介なのが水です。
内部への雨水浸入を抑えるため、建物にはさまざまな工夫が施されています。
その一つに”防水”があります。
雨風をしのぐ屋根や壁だけではなく、水を使用する様々な場所にも防水は必要となってきます。
「防水」という言葉を聞いて、なにを思い浮かべますか。
身近なところでは、革製の靴やバッグなどを雨から守る防水スプレーや撥水加工などが思い浮かびます。
同じように建物にも雨水対策として防水をしておかないと、やがては雨漏りを引きこしてしまうこととなります。
屋上やバルコニー、また外壁などに防水施工をして、雨水から建物を守ることが大切なのです。
塗装で水の侵入を防ぐ
建物を守ることに「塗装」があります。
外壁材は、塗料によって雨水が浸入しないよう守られています。
外壁材表面に塗料を塗ることによって、一番外側で建物を守っている塗料の膜(塗膜)が形成され、その塗膜が外壁材から雨水が浸入するのを防いでいます。
塗膜とは、外壁や屋根に塗った塗料が乾燥して固まって膜状になったものを指します。
塗膜は日々の紫外線や雨風から一番ダメージを受けており、経年劣化により防水機能が徐々に低下していきます。
この状態からすぐに雨漏りへと繋がるわけではありませんが、早期メンテナンス「塗り替え」、雨水の浸入口となる劣化箇所の「補修」をすることによって、雨水の浸入を外壁の一番外側の表面でおさえることができ、建物の寿命を延ばすことに繋がります。
塗装で建物の寿命を延ばす
また雨水の浸入により雨漏り被害だけではなく様々な被害へと広がります。水の侵入で雨水の通り道ができてしまうため、降雨のたび雨水が建物内部へ浸入するようになり、木造の柱は湿気によって腐食しはじめます。さらには、湿気を含んだ木材をシロアリがむしばんでいき、建物の耐久性があっという間に低下してしまいます。他にも、水分を含んだ外壁材にカビや藻が発生したりと建物の外観を損なう可能性もあります。このような状態に陥る前に、私たちは早めのメンテナンスをおすすめしています。定期的なメンテナンスで建物の寿命を延ばすことが出来ます。
一般的に、外壁塗装をするタイミングは築10年と言われていますが、周辺の環境や天候などによって建物の劣化状況も異なってきます。うちは大丈夫かしら?防水機能が低下していないか?そのサインを見逃さないため、いくつか症状をまとめてみました。
外壁防水が必要な建物の症状
チョーキング現象
壁を触ったら手に白い粉が付いた… こんな経験はありませんか?
壁を触った時に白いチョークを擦ったような白い粉が手の平に付いてしまう現象。
これをチョーキング現象と言います。
「白亜化現象」「塗料の風化」「粉が吹く」とも言われています。
チョーキング現象は塗膜(外壁に塗料を塗って出来る膜)の中にある顔料が粉化して表面に出てくる現象なので、顔料が含まれていないクリアー塗料など、チョーキング現象が起こらない塗料もありますが、色がついている塗料のほとんどは劣化とともにチョーキング現象は起こると考えてよいでしょう。
チョーキング現象の原因は年月が経つにつれての経年劣化です。
塗膜が長期間、雨風と紫外線によるダメージを蓄積した結果、塗膜が薄くなって劣化した塗料の成分である顔料が外壁の表面に現れる現象のことを言います。
保護膜である樹脂や、塗膜として安定させてくれていた添加剤がある程度分解してしまった塗装面は、顔料がむき出しになってくるのです。この顔料も劣化して、粉に戻ってしまい、表面で粉化した状態がチョーキング現象となります。
チョーキング現象を放っておくとヒビや壁が歪んで隙間が生じるものです。
またその隙間から、雨が入りこんだりカビ菌が入り込んだりして、外壁塗装は大きな工事になってしまいます。 チョーキング現象は直接的には建物が倒壊する原因とはなりませんが、チョーキング現象が起きているということは塗膜の防水性が失われた状態となっています。
塗膜の劣化は外壁内部への浸水を許してしまい、雨漏りなどを引き起こす原因となるので、外壁塗装をして新たな塗膜を形成してあげる必要があるのです。
クラック
「気が付いたら外壁にひび割れ?」とても不安になってしまいます。
このひび割れは、外壁塗装では「クラック」と言い、程度の軽いものから重いものまであります。
程度の軽いクラック(ひび割れ)なら緊急な対応は必要ありませんが、溝の深いクラック(ひび割れ)は要注意です。
例えばモルタル壁だと、一番表面が塗膜(塗装の膜)で、その内側にモルタル、金網、防水シート、下地の板などが続いています。
わずかなクラックなどはこの塗膜だけのひび割れで防水性能に影響をあまり及ぼしません。
しかし、モルタルや防水シートまでひび割れてしまっている場合は、中に水が浸入してしまう可能性があるのです。
また、程度の軽いものでも長期間放置すると外壁内部への浸水を許してしまい、建物の躯体構造に影響を及ぼすこともあります。
定期的な外壁塗装をしっかりしていないと、壁が湿気を含んで微小ではありますが収縮していきます。
これを繰り返すことによって『クラック』と呼ばれる目に見えないほどのひび割れが発生します。
水が入れば外壁に使われている材料が劣化します。
また水が入らないとしてもクラック(ひび割れ)は大きくなったり数を増したりしていきます。
すると雨漏りをするようになったり、壁がだんだんと崩れていったりするのです。
クラック(ひび割れ)から侵入した水が影響を及ぼすのは壁だけではありません。
家の土台や基礎が侵食されて、台風や地震などで家が倒壊してしまうということさえあります。
このクラックが発生している場合、クラック補修を施してしっかりと下地の状態を整えてから外壁の塗り替えをする必要があります。
適切な外壁塗装をして、新たな塗膜を作り防水性を高めることが大切なのです。
シーリングの縮み・割れ
シーリング材とは、サイディングボードなどのつなぎ目に使われているゴムのような素材のことです。
外壁材のうち、サイディングボードやALCパネルなど、パネル状の外装材で外壁を仕上げた時は、パネルとパネルのあいだに目地ができます。
外壁塗装において「目地」と呼ばれるのは、この部分を指しているとお考えください。
ちなみに、レンガ調外壁のへこんだ部分の事を、目地と呼ぶ場合もあります。
外壁に張るボードやパネルは、非常に堅い板ですので、ぶつかったり強い負荷がかかったりすると、当然割れてしまいます。
そのため、施工の際は、サイディング同士が重ならないように、並べて外壁に貼り付けていきます。
この時にできる外壁材と外壁材の間が「目地」に当たります。
目地は、そのままでは空洞になっており、外壁内部がほとんど剥き出しに近い状態ですので、ここにシーリング材と呼ばれるゴムの性質をもつ樹脂を注入して、保護します。
これをシーリング工事といいます。 硬い部材ではなく、ゴム性部材を詰め理由は、屋外の湿度や乾燥によって、外壁材に膨張や収縮が起きても、弾力性のある柔らかいコーキング材であれば、その動きに対して追従して、負荷を吸収してくれるためです。
建物は常に動いており、シーリングはその動きに追随しています。
しかし、紫外線などによってシーリング材が劣化するとゴムのような弾性がなくなり、建物の動きに追随できず縮んでしまったりひび割れが発生したりします。
それをそのまま放置していると、その隙間から雨水が建物内部へ浸入してしまいます。
シーリングは環境によって異なりますが、紫外線の影響を受け約5年を過ぎたあたりから劣化がはじまります。劣化が始まると、その「防水性」「伸縮性」を徐々に失い、最終的には雨漏りや外壁のひび割れの原因になります。
雨漏りや外壁のひび割れは建物全体の劣化速度を一気に加速させる要因となります。
シーリングをする目的は、つなぎ目から侵入する「雨漏りを防ぐ防水性」と地震などにより建物が揺れた際に「伸縮性により建物を守る耐震性」にあります。
ペイントホームズでは、高耐久でありながら可塑剤が出ない高級シーリング材を標準使用しています。
塗装の膨れ・剥がれ
外壁の塗装がぷくっと膨れているのを見たことはありませんか。
こうなる原因はいくつかあります。
経年劣化、施工不良また外壁内部に水が浸入している、蓄熱水蒸気膨れ、カビの発生、乾燥が不十分などがあげられます。 膨れは塗膜欠陥の一つです。
こうなると簡単に剥がれおちてしまいますので、せっかくの外壁塗装も効果がなくなってしまいます。
これは部分的にみられることもありますし、全体がそうなっている場合もあります。
その膨らみを触るとポロポロと塗料が剥がれ落ちたり、破れて中から水が出てきたりすることがあります。
塗膜が劣化したり外壁にヒビが入ったりして雨水が浸入し、塗膜と下地の間に水が溜まっている可能性があります。
放置していると建物内部にまで雨水が染み込み、雨漏りが発生することがあるため早急な修理が必要です。
そうなると塗装の本来の役割である「水分を建物内部に浸入させない」という機能を果たせなくなります。
また柱や屋根などの主要構造部が腐食され耐久性・耐震性の低い建物になってしまいます。
外壁に膨れなどの劣化症状を見つけた場合はそのままにせず、補修や塗り替えなどの修理を一刻も早くされることをおすすめします。
主な塗装箇所
外壁塗装
建物は定期的なメンテナンスを怠ったからといって、すぐに大きな被害にあうわけではありません。
外壁は常に天候や災害などの自然にさらされています。
天候や災害による建物の劣化は「色褪せ」「各種機能・効果の軽減」「耐久性の低下」などがあげられます。
さらに劣化が進むと最悪の場合、建て替えを余儀なくされてしまうこともあるのです。
例えば、雨の影響を受け続ければ外壁が黒ずんでいき、直射日光による紫外線を浴び続ければ塗料を覆う塗膜の保護機能が分解されます。
積雪による凍害ではサイディングボードが浮いてしまったり、そこから雪や雨などが侵入してしまうと梁や柱といったお住まいの重要な部分の腐食がはじまります。
水はお住まいの寿命を著しく短くしてしまうのです。
私たちが住んでいる家の外壁材や屋根材は塗装することで塗料に保護されています。
外壁材自体には防水性はほとんどありません。塗装が加わることによって、雨水に対してのバリア機能を発揮することができるのです。
このことから、ほとんどの外壁には塗装が必要となることがわかると思います。
屋根塗装
一言でいうと「屋根に新たな塗膜を作って防水性を与える」ということです。
建物の基礎部分は木や鉄、コンクリートなどでできています。
これらは「水分」に弱く、水分に触れてしまうと劣化を引き起こし、腐食していきます。屋根の防水機能が低下し、水の侵入で腐食が進んでしまうと建物の強度が下がり、最悪のケースでは建物の倒壊を引き起こしてしまいます。
新しい塗膜を作ることでお住まいの防水性が維持されて、長持ちさせる役割があります。
大事な家を雨から守るために、屋根の防水は大きな役割を果たします。
一般に住宅の屋根は和瓦、スレート瓦、金属瓦、シングル等様々な屋根材で覆われています。
これらの屋根材は色彩やデザインが美しいだけではなく、水の浸入を防ぐよう工夫された構造を持ちます。
しかしながら、緩い傾斜の屋根や、雨風が強く吹き付けられる環境では屋根材だけで完全に雨水を防ぐことはできません。 このため、屋根材の下に防水シートを施工する必要があります。
この防水シートは屋根下葺材と呼ばれます。
屋上がベランダや平らな屋根になっている場合、傾斜屋根のある住宅と異なり完璧に雨水の浸入を防ぐ防水層が必要です。
雨水を遮る屋根材が無く、水が屋根に滞留しやすいためです。
水はごくわずかな隙間があれば侵入します。
また、空気の流れの影響や毛細管現象により、水が下から上に上ることもあります。 このため、建築構造や環境を考慮した適切な防水施工をおこなうことが住宅を雨水から守る上で重要となります。
屋上防水
ビルやマンションなどの屋上部分は雨風が侵入しやすく、また水が溜まりやすい個所なので、雨漏りや浸水が発生してからおこなうよりも、事前に予防策として定期的なメンテナンスをおすすめしています。
一度たりとも雨漏りを発生させないことが、建物を守ることにも繋がります。
また、雨水以外にも日光(紫外線)の影響も受けるため、非常に傷みやすい箇所となります。
そのため、屋上や屋根は他の箇所に増して、防水工事が必要となってきます。
防水の種類も様々で、シート防水や塗膜防水、アスファルト防水など施工内容もそれぞれ違ってきます。 防水工事をする際、特に注意したいのが防水面を完全に乾燥させることです。
コンクリートを新たに打設した場合は、表面は乾いていても内部に水分を持っているのでよく乾燥させることです。水分があると施工後に膨らんでくるので注意が必要です。
次に下地処理をしっかりとすることです。
何においても言えることですが、基礎ほど丁寧な作業が必要です。
また防水面積が広くなったら、一定間隔に脱気塔を設置します。
屋上の面積の広い場合は内部の空気が膨張して防水層を膨らませてしまいます。 そのため空気を逃がす脱気塔を付けると良いでしょう。 定期的な防水工事が結果的に費用を抑えることに繋がります。
ベランダ塗装
ベランダは特に建物の外に張り出したスペースであるため、雨水が直接外壁に当たったり、ベランダ内に降り込んだ雨が傾斜の少ない床へ降り込んだりします。
その分、劣化を放置して水の浸入の原因をそのままにしておくと、あっという間に建物を構成している木材やコンクリートを腐食させてしまうことにつながります。
築年数が新しい、古いは関係ありません。
ベランダ内から水が浸入しない状態をいかに長く保てるかがポイントとなります。
外壁の塗装工事、床の防水工事同様にベランダやテラスにも防水が必要です。
ベランダやテラスでの防水は躯体の保護に加え、雨水をスムーズに捌けるようにする役割を持ちます。 ベランダやテラスでは人が防水層の上を歩いたり、物を置いたりすることが多いため、使用する防水材は丈夫で耐久性のある材料が使用されます。
いずれにおいても、一番重要なのは「水の浸入を防ぐこと」です。
まとめ
雨漏りといえば、屋根や天井からというイメージが強いのではないでしょうか。実は外壁からの雨漏りも多いんです!
耐久性抜群のように思える外壁も、年数が経つと当然劣化してきます。外壁防水が必要な建物に「チョーキング」「クラック」「シーリング割れ」などの症状がでてきたら業者に一度建物をみてもらって状況によって対策を検討されてください。
外壁にはもともと防水対策が施されていますが、残念ながらその効果は永遠に続くわけではありません。そのため、家を建ててから10年程度経過したら建物の劣化診断を行い塗装メンテナンスで家を守りましょう。