意匠性に優れ味わい深いモルタル壁!
モルタルは、1980年代位に人気の外壁としてよく使われていました。築20年のお住まいをみてみるとモルタル外壁は多いのではないでしょうか。
モルタルはデザインの自由度が高く意匠性に優れている魅力的な外壁材です。
当時、木造住宅が主流だった日本家屋に、耐火性の高いモルタル壁が普及したのは戦後のことです。その後、モルタル壁よりも扱いやすいサイディング壁が普及してからは、モルタル壁の採用は徐々に減少していきました。
しかし、今でもデザイン性の高さや優れた耐久性から根強い人気があります。
モルタル外壁とは?
モルタルとは、セメントと砂を混ぜたものに水を加えて練り混ぜた材料で、それをラスと呼ばれる網目状の金属に塗り外壁としたものがモルタル壁です。外壁をはじめさまざまな用途で使用されます。
モルタルは一軒ずつ丁寧に職人が塗っていく工法になりますので、同じ仕上がりは一軒もなく、職人の技術力がはっきり現れる外壁になります。またモルタルは継ぎ目がなく非常に綺麗な仕上がりなのも特徴です。
※コンクリートとの違い
モルタルは材料が水+セメント+砂であるのに対し、コンクリートはモルタルの材料に砂利が加わります。原料が異なるため、強度だけでなく仕上がりや使用目的も変わります。モルタルは目地や戸建て住宅の外壁、コンクリートの仕上げに使用。一方コンクリートは家の基礎や鉄筋コンクリートとして使用されることが多いです。
モルタル外壁のメリット・デメリット
メリット
①デザインの自由度が高く、意匠性に優れている
②金属性の外壁材のように熱くならない
③耐火性、耐久性に優れている
デメリット
①ひび割れ
②汚れが目立ちやすい
③高コスト
④熟練した職人が必要
モルタル下地塗装!仕上げの種類
スタッコ
スタッコは石灰と水で出来た建築建材です。スタッコ仕上げはスタッコにさらに骨材を混ぜて5~10mm程度の厚さで吹き付けたもので立体感があり、重厚感・高級感のある外壁となります。
厚みがあるのでひび割れしにくいのですが、塗装面に凹凸が多くあるため汚れやすいことと、塗料の吸い込みが非常に多く、塗料を大量に消費してしまい価格も高く作業に手間がかかるのが欠点です。
リシン
表面が細かく砂の様にザラザラしている砂壁状の外壁です。これは、塗料を吹き付ける時に一緒に砂粒を混ぜているためです。仕上げ方法の中でも価格が安く、作業性が良いことからモルタル外壁の仕上げ材として多く使用されています。
独特の落ち着いた風合いが特徴ですが、壁面にひび割れが生じやすく、表面に汚れが付きやすいことが欠点です。
吹き付けタイル
立体感のある独特の風合いが出ます。また大きさは吹付ガンの口径の大きさによって粒の大きさや質感を変えることができます。
塗料の性質により耐久性を高めた仕上げが可能です。ただ施工の際、材料の飛散や音が出ることがあります。
塗り替え時は、塗料の吸い込みが少ないので、とても塗りやすく作業時間が短く済みます。
ローラー仕上げ
安全性と作業性が高く、現在最も採用されている工法です。ローラーにもバリエーションがあり、多様な模様付けが出来ます。。また、不燃性・防水性等の性能を付与する事もできます。
左官仕上げ
左官職人がその場で塗って完成させることから『左官仕上げ』などと呼ばれ、コテ仕上げ・櫛目引き仕上げなど様々な種類があります。職人の手作業による仕上げのため、温かみのある風合いや、デザインの自由度の高さが特徴です。また、吹きつけ塗装による模様仕上げも可能です。
塗り替え時には、仕上げ面に吸い込みが生じるため、塗料が多く必要になることと、仕上がりが職人の技術力に左右されることが欠点です。
左官仕上げとは、職人がコテを使い模様をつけながら仕上げをしていきます。種類が豊富で温かみのある仕上がりになります。また継ぎ目がなく美しいことも人気の一つです。ただ手作業による何層もの重ね塗りや、壁材が乾くまで時間がかかるため、費用もかかります。また最終的な仕上げまで手作業になるため、熟練した技術が必要となります。
劣化症状ごとの対処方法
ひび割れ(クラック)
水を吸い込むようになると膨張と収縮を繰り返し、ひび割れが発生します。
リシンの場合はひび割れが入りやすく早い段階でひび割れが目立ち始めます。
ヘアクラックと呼ばれる0.5㎜以下のヒビ割れであれば塗装で補修できますが、0.5㎜以上の深いものになるとコーキングなどで補修をしてから塗装をする必要があります。弾力がある下塗材で隙間を塞ぎます。
チョーキング
乾いた外壁を触った時、手に粉がついてしまったら家の耐水性は低下しているサインです。
モルタルは水に弱いので、防水性が低下すると水を吸い込んでしまいます。
ご自宅の壁に水をかけて、色が変わるようであれば水を吸い込んでしまっていますのでメンテナンスの時期です。一度業者にみてもらいましょう。
カビ・苔
モルタルは表面が凸凹しているため、カビやコケが発生しやすいです。
また立地によっても症状が出てくる時期に差が出てきます。建物の近くに森や川があり湿気が多いところでは早い段階でカビ・コケが気になってくることもあります。
カビやコケの繁殖は、見た目も悪く外壁の強度も低下してしまうので、そのままにしておかずにきちんと洗浄して塗装することが大切です。
爆裂
モルタルが内部からの力で崩れてしまうことを「爆裂」と言います。
モルタルのひび割れが大きくなると雨が降った時に雨水が入り込みます。すると内部のラス網という金属の網が錆びてしまいます。金属は錆びが発生すると体積が増えるため、モルタルを押し出してボロっと崩れてしまいます。
この爆裂現象が起きた場合は、ラス網の交換、モルタル左官が必要になります。
放置していたクラックが原因や、自然災害によっても爆裂は起きます。このひび割れが大きくなると雨が降った時に雨水が入り込み内部の金属の錆に繋がってしまいます。錆の発生で体積が増えモルタルを押し出してしまいます。爆裂は外壁に大きなダメージとなりますので、気づいたら業者に見てもらい早めの補修をおすすめします。
塗料の選び方
モルタルのメンテナンスには塗り替えが一般的です。
モルタルはひび割れがしやすいので、弾性塗料の使用がよいでしょう。
単層弾性塗料
単層弾性仕上げは、下塗りにシーラーを使用し、中塗りと上塗りで同じ塗料を使います。
厚く塗ることでヒビ割れに強い塗料です。。下塗り1回、上塗り2回が標準となっています。
複層弾性塗料
中複層弾性仕上げは、下塗り、中塗りに高弾性塗料2回塗り、上塗りでは耐候性や美粧性がある中塗りと別の塗料を使います。耐久性は高いですが、工程も多くコストはかかります。
微弾性塗料
微弾性塗料は、硬質塗料と弾性塗料の中間の塗料のことです。下塗りに微弾性フィラーを使用し、中塗りと上塗りは同じ塗料を使用し計3回塗ります。
(※微弾性フィラーには粘度が高く上塗り材とよく密着し下地を整え強化するという特徴があります)
モルタル下地の外壁を塗装する場合の注意点
・施工実績の多い業者に依頼する
・高圧洗浄には気を付ける(破損の恐れがある)
・手間や時間がかかるので費用が高い
・施工期間が他の塗料よりも長い
まとめ
モルタル外壁についてお話しました。
いかがだったでしょうか。
職人が一つ一つ手作業で塗布していくモルタル外壁は、温かみがあり意匠性に優れています。しかしながら、高コストや熟練した職人が必要であることなどから最近では他の外壁材の方が良いと感じる方が多くなっています。
外壁の仕上げは、建物の耐用年数にも関わってくるので、メリット・デメリットを理解し、コストの面なども含め総合的に判断したうえで、より理想に近い最適な外壁材を選択しましょう。