タイル外壁のメンテナンスは不要?
「タイルの外壁はメンテナンスフリー」ということを耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
「タイルは劣化しないって聞いたけど…」「でも本当に何にもメンテナンスしなくていいの?」タイル塗装をお考えでしたらこのような疑問を持たれる方もいらっしゃるかと思います。
タイルは他の外壁材に比べて耐用年数が長い印象から、“メンテナンス不要”といわれることがあります。タイルそのものは無機質なので劣化することはありません。しかし場合によっては、ひびや割れが起こることもありますので、その場合補修する必要があります。タイル自体は耐候性や耐傷性に大変優れているため変色や劣化などが起こりにくい素材です。
タイルを支えている下地や目地は劣化しますので10年位を目安にメンテナンスは必要になります。
ひび割れが起こる理由…
タイルそのものは無機質なためほとんど劣化することはありませんが、タイル下地のモルタルや躯体コンクリートが温度変化によって膨張と収縮を繰り返すことでひび割れが生じ、それにより外壁タイルにもひび割れが起こります。また地震や衝撃によりタイルにひびが発生する場合があります。
タイルまわり…
タイルを支えている下地や目地には寿命があり経年劣化します。タイルまわりの目地コーキングやタイルを接着しているモルタルも10年位経過すると劣化していきますのでメンテナンスが必要になります。
こちらの記事ではタイルの塗装やメンテナンスについてお話していきたいと思いますので参考にしていただければ幸いです。
タイル外壁の特徴
外壁材には無機質と有機質が存在します。無機質とは石や砂、金属、ガラスなど自然から採取される物質のことです。
タイルは原材料である土や石、砂といった自然素材を高温で焼き成形した無機質の外壁材です。石や砂といった無機物は優れた耐久性を持ち、紫外線や雨風の影響を受けても変色や劣化を起こしにくいです。このように耐候性・耐久性が優れているということがタイルの特徴の一つです。
また1,300度の高温で焼きかためられることから、大変硬く耐傷性にも優れています。
タイル外壁は他の材質では表現できない意匠性や、高級感、重厚感を表現することが出来、機能性だけでなくデザイン性にも優れた素材で豊富なバリエーションがあります。
タイル外壁のメンテナンス箇所
・タイルのひび割れ
・目地のひび割れ
・タイルの浮き
・壁の汚れ
補修方法
タイルのひび割れ
タイルに欠損や大きなひびがみられる場合は新しいタイルを貼り付けます。
ひび割れなどの不具合が生じている部分の目地に切れ目をいれて不具合のあるタイルを撤去します。
接着剤や接着に用いるモルタルなどを塗り、新しいタイルを貼る下地を形成します。
この作業のちの仕上がりに影響が出ますので大事な作業になります。
下地ができたら新しいタイルを貼り、目地を均一に整えます。
目地のひび割れ
コンクリートなどの壁面に生じたクラック(ひび割れ)は、エポキシ樹脂で割れ目を塞ぎ、壁面に馴染むように均一に整え、壁面と同じ色(近似色)になるように仕上げていきます。
目地の交換(打ち替え・打ち増し)
打ち増し工事では既存のコーキング材の上から新たなコーキング材を充填していきます。一方、打ち替え工事では既存のコーキング材を撤去してから新しいコーキング材を充填します。既存コーキングの傷みが激しいほど打ち替えでのメンテナンスをおすすめします。
メンテナンス方法については既存コーキングの状態をみて業者に判断してもらうことをおすすめします。
【参考】コーキング打ち替えが必要な劣化状態と費用相場を徹底検証!
タイルの浮き
タイルはモルタル下地に接着剤で張り付けるのが一般的です。
接着力が弱まってくるとタイルの浮きや、ひどい場合は剥がれ落ちてしまいます。
原因として施工不良や劣化、地震などの揺れによるものなどです。
浮きが少ない場合は、目地に穴を開けてそこから樹脂を注入します。
浮きが大きかったり、剥がれかかったりしている場合はタイルを剥がして張付け直す工事が必要になります。
劣化が進んでいる場合はタイルを全て撤去し新しくモルタルを左官しなおします。
タイルの浮きは目視では分からないことも多いです。そのため定期的にプロの点検診断をおこない、原因に合ったメンテナンスを行ないましょう
壁の汚れ
タイルも10年前後経つと汚れてきます。汚れが気になってきたら高圧洗浄を行ないましょう。また手の届く範囲であればご自身でも洗浄していただけます。汚れが落ちにくい場合はタイル専用の洗剤で洗いましょう。
☆タイル外壁によくある“白い汚れ”「エフロレッセンス」
エフロレッセンスとは、雨水と目地コンクリートに含まれる物質が化学反応を起こして、白い汚れが流れ出ている現象のことを言います。
タイル外壁を塗装する
〈防水塗装〉
タイルに防水材を塗布します。
目地部分にも刷毛を使って防水材をしっかり浸透させます。
塗装は下地塗りの後に2度塗りを行います。ただし、タイルの劣化が進んでいる場合は、さらに重ね塗りをすることもあります。
色が無色のため、防水塗装でタイルの質感が変わる心配はありません。
〈クリアー塗装〉
一般的にタイルの艶出しなどを目的としています。
既存の色や模様を残したまま表面を保護することがでます。
※タイルを塗装する際は、必ずタイル用の塗料を選びましょう。
《塗装する際に気を付けたいこと!》
クリアー塗料は一般的な色が付く塗料と同様に、シリコンやフッ素などの種類があり、それぞれ耐用年数が設けられています。しかし耐久性を高める効果はありませんので、耐用年数ごとに再塗装が必要になります。
塗装をしなければ起こらない「チョーキング」や「色あせ」などの劣化症状も発生するようになります。このようなデメリットを理解したうえで塗装をご検討されることをおすすめします。
優良業者に依頼する
打診検査をしてくれる
劣化状態を診断する際、*打診棒を使って診断します。タイル外壁はこの打診棒によって異常の有無を確認できます。打診棒を転がしてタイルの浮きなどを確認します。
*打診棒
異常箇所の有無によって音が違います。この打診棒でタイルの浮きや水の浸入している箇所を確認することができます。
家全体を点検してくれる
家全体を診てくれる業者さんを選びましょう。メンテナンスが必要なのは外壁だけではありません。長く美しくお住まいを保つため家全体をみてくれる業者に点検・工事をお願いしましょう。
経験豊富な業者を選ぶ
タイル塗装の経験がない業者もいます。施工後のトラブルを避けるためにも施工実績も事前に確認し、経験豊富な業者に依頼されることをおすすめします。
※点検の際には写真を撮って現状報告と一緒に説明をしてくれるとわかりやすいですね。家全体を点検して細かい部分まで見てくれる業者を選び、お住まいに合ったメンテナンスを検討しましょう。
まとめ
今回は外壁タイルの塗装についてお話しさせていただきました。
高級な質感を得られる外壁タイル。また他の外壁材にはない重厚感を演出できる点も外壁タイルならではの魅力です。
土や石を1,000度以上の高温で焼きかためて作られる外壁材なので、耐火性や撥水性があり火事や雨風に強いといった特徴を持ちます。初期工事費用は高くなりますが、同じ家に長く住みたいという方におすすめの外壁材です。
タイルそのものは無機質なためほとんど劣化することがありません。しかし場合によっては、ひびや割れが起こることもありますので、その場合補修する必要があります。またタイルを支えている下地や目地には寿命があり経年劣化しますのでこちらにはメンテナンスが必要になります。
タイル外壁は基本的には塗装の必要がない外壁材です。タイル外壁は塗装が不可能ということではなく、タイル専用の塗料であれば塗装することができます。主にタイル材の艶出しや美観の向上、タイル材・目地の防水・保護を目的とします。
塗装をしたことでメンテナンスを継続的に行わなくてはいけなくなりメンテナンス費用がかさんでしまうというデメリットもあります。
タイル外壁の塗装を検討される場合は、メリットデメリットをきちんと理解し後悔のない選択をされてください。
信頼できる業者に依頼しお住まい全体をみてもらい、劣化症状に合うメンテナンスをしてもらいましょう。