基礎の役割
自宅の基礎にひびが…!このひび割れは放っておいていいの?基礎は家を支える部分ですのでひびが入っていたら不安になりますよね。
「基礎って、そもそも塗装した方がいいの?」「外壁と同じ塗料で塗るの?このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
お家の基礎部分・・・?建物と地面をつなぐ「土台」となる部分(コンクリート部分)です。基礎部分って縁の下の力持ちといった感じであまり目立たない存在ですよね。しかし!基礎には、建物の荷重や地震などの外的要因をバランス良く地盤に伝えるという重要な役割があります。他にも地面の湿気から建物を守る役割も担っています。建物と地盤のつなぎ目に位置しており、建物の重量を長期にわたり受け止めています。
基礎がないとお家はどうなってしまうのでしょうか。建物の重みを支えるものがなくなり地面の揺れが直接外壁に伝わるので建物の劣化を早めてしまう可能性があります。
建物を長く保たせるために、基礎も劣化状況によってはメンテナンスが必要になります。
今回は建物にとって重要な基礎部分の塗装についてお話していきます。
基礎の種類
《ベタ基礎》
現在ほとんどの住宅づくりで用いられている方法です。建物の底一面を鉄筋コンクリートの基礎で支えることにより高い安定性を実現します。
地面を全てコンクリートで覆う構造のため、シロアリの侵入も防ぐことができ、地面からの湿気も入りにくいこともメリットの一つです。
ただしコスト的には布基礎に比べると割高です。
《布基礎》
建物の柱や壁といった構造部分に沿ってコンクリートを縦に打設し、線で支えているのが布基礎です。布というのは、平らに伸びるという布の性質に由来しているとされています。
布基礎は、ベタ基礎と比べてコストが低く、壁にかかる荷重を分散できます。しかし湿気やシロアリ被害への耐性は高くない点がデメリットです。
《独立基礎》
独立基礎は、住宅にはあまり使われることのない基礎です。玄関ポーチやデッキなど独立した支えが必要な部分に対して使用されます。
基礎部分の劣化症状
常にお家の重みを支えていますので年月とともに劣化していきます。基礎部分に使用されているコンクリートは雨水や地面の水分などの影響により劣化が進行します。基礎は建物にとって一番重要な部分ですが、この基礎部分に一体どのような劣化現象が起きるのか見ていきましょう。
ひび割れ・剥離・浮き
ひび割れが起きる一番の要因は水の浸入です。コンクリートには10%程度の吸水率があり、雨水を吸収して乾燥するといった膨張と収縮を繰り返しています。その結果ひび割れが起こります。また雨水が基礎部分に浸入してしまうと内部の鉄筋を腐食させてしまいます。腐食した鉄筋と酸素が結合し膨張してしまいひび割れや欠損に繋がります。
雨水以外に地面からも水分を吸収しています。この地面からの水の侵入により湿気がたまりひび割れが起こることもあります。
サビ汁・変色
基礎部の汚れで一番多くみられるのが雨染みです。コンクリートが劣化し内部まで雨水が浸透している場合に起こりやすく、コンクリートの塩害や凍害が原因で起こる劣化症状として、鉄筋のサビによるサビ汁や変色もあります。
また日当たりの悪いところに雨染みが発生するとそこからカビやコケが発生する場合もあります。
空洞化・表面気泡
基礎部分に表面気泡や空洞化といった小さな穴のようなものができることがあります。これは地盤沈下や施工不良が原因としてあげられます。
補修が必要なひび割れ
基礎工事にはもともと水分を含んで施工をするため、その後の乾燥と収縮をくりかえすことにより、多少のひびは起きてしまいます。基礎のひび割れは放っておいても大丈夫なものもあります。例えば基礎部分によくみられるヘアクラックと呼ばれているひびで、これはそれほど大きな影響を与えるようなひび割れではありません。ご自宅のひび割れが放っておいても大丈夫なひび割れなのか、補修が必要なひび割れなのか判断することが大切です。
ただし以下のようなひび割れが見つかったら早急に補修を行ないましょう。
幅0.3㎜以上、深さ0.5㎜以上のひび割れ
ひび割れの幅0.3㎜以上、深さ0.5㎜以上のひび割れは「構造クラック」と呼ばれ補修が必要です。
「構造クラック」は建物の耐震性や強度に関わる重大なひび割れなので、見つけたら放っておかず専門知識のある業者に点検を依頼しましょう。
同じ場所に無数のひび割れ
同じ場所に複数のひび割れがあった場合は補修が必要です。一部に力が加わってひび割れが発生している可能性があるので、地盤沈下や家の構造に問題がある場合もあります。専門知識のある業者に点検してもらい適切な補修方法で修繕しましょう。
横一文字のひび割れ
横方向にひび割れが入っている場合も補修が必要です。放っておくと雨水を内部に浸透させ、基礎内にある鉄骨を錆びさせてしまう恐れがあります。鉄骨が錆びてしまうと鉄骨交換などの大規模な工事が必要になり、余計な費用がかかってしまいます。
基礎の上から下まで延びるひび割れ
基礎の上から下までひびが入っている場合も補修が必要です。この場合、ひび割れ自体の幅が0.3㎜以下だとしても早めの補修をおすすめします。
基礎の剥がれや滑落
基礎のひび割れを放っておくと、ひび割れが広がって剥がれや滑落が発生します。基礎の強度も弱くなってしまうので、こうなる前に補修を行ないましょう。
補修・塗装
《リバコン工事》
コンクリートを内部から改質する液体を浸透させることでセメント結晶の生成を行います。施工期間が1日程度と短いのでおすすめの方法です。
《Uカットシール工法》
ひび割れに沿ってU字に切り込みを入れて、樹脂やモルタルを充填する方法です。
《ビックス工法》
ひび割れ部分にゴム製の注射器を埋め込み、そこからエポキシ樹脂などで補修していく工法です。
《アライド繊維シート》
アライド繊維シートは防弾チョッキなどに使用される丈夫な素材です。アラミド繊維シートを基礎に貼り付け上からモルタルなどで基礎を平らにすることで強度を高くすることが出来ます。
塗装をするメリット・デメリット
メリット
基礎塗装をすることで「ひび割れがなくなり、見た目が良くなる」・「防水性が高まりカビ・コケの発生を抑える」・「白アリが寄り付きにくくなる」といった利点があります。
基礎はコンクリートやモルタルが一般的ですが、素材自体に防水性がありません。塗装で吸水性を抑え防水性を高めることが出来ます。さらにかびやコケの発生を抑え、美観性を高めることも出来ます。
デメリット
「表面を塗装することで内部の劣化に気づきにくい」・「基礎の通気性が悪くなってしまう」・「塗装してもすぐに劣化する」といったデメリットがあります。塗装をすることで、コンクリート部分の状態が目視しにくくなります。そのため基礎の劣化症状を見落としてしまい、早めの対応がとれないことがあります。また基礎が位置する地表近くでは、雨の跳ね返りや地面の湿気を受け、塗装部分がすぐに汚れたり剥がれたりする可能性は高いです。また地面に埋め込まれた部分は塗装できない、塗膜によって通気性が低下する、といった不安の声もあります。
【参考】外壁塗装や塗り替えのサインは?
まとめ
お家を守るために重要な役割を果たしている基礎。
「見た目も良くるからなんとなく外壁塗装と一緒に…」との理由で基礎の塗装をしてしまうと、本当に大切にしなければいけない内部の基礎コンクリートの異常に気付けなくなります。その結果、家の土台自体の劣化に繋がってしまうということになりかねません。
今回の基礎塗装は必要であるか?については
「基礎自体の補強後→塗装」です。
基礎内部をきちんと補強された状態であれば、塗装をおすすめします。見た目も美しくなり、表面の保護も出来ますので、建物をさらに長く支え基礎自体の強度が守れるでしょう。
立地条件によっては基礎の塗装に向かない場合もあります。
家の土台となる重要な部分なので、必ず専門の業者に相談され建物に合った適切な施工をされることをおすすめします。