外壁塗装工事のやり直しは可能なのか?
住み続けることで、あらためて実感する癒しの空間「家」。
大切なお住まいを守るために必要な家のメンテナンス。
外壁塗装は、日々の紫外線や雨風から建物を守る重要な役割を果たしています。しかし仕上がりによっては満足できないこともあります。
塗装が完了して建物をチェックすると、「ここに塗り残しがある」「塗料の色ムラが気になる」といった問題が見つかることがありますよね。そこで気になるのが、「終わった工事を、もう一度手直ししてもらうことはできるのだろうか?」
結論から申しますと、塗装業者に塗装のやり直しをしてもらえるかどうかは、なぜやり直す必要があるのか?その理由によります。
たとえば「塗り残しがある」「明らかな塗りムラがある」など、塗装業者に落ち度がある場合は、基本的にやり直してもらうことが可能です。
一方、塗装業者に落ち度はなく、「仕上がってみたらイメージした色と違った」といった施主側の感覚的な理由では、やり直してもらえないと考えてよいでしょう。
やり直しが出来る不具合
塗りムラや塗り残しがある
塗装すべき箇所が塗られていない、明らかな塗りムラや広範囲にわたる塗り残しがある場合は業者側の落ち度に該当するので、やり直しをしてもらうことが可能です。
ただし…
外塗装壁は人の手で行うため、多少の塗りムラが出ることがあります。そのため、壁を見る角度や光の当たり方でムラがあるように見えるなどの場合はやり直しは難しいこともあります。塗りムラや塗り残しが見つかったタイミングですぐに施工業者に相談するようにしましょう。
塗装後すぐに塗膜の剥がれやヒビが起きた
外壁塗装が終わった直後に、塗膜の浮きや剥がれ、ひび割れなどが見られる場合は、やり直しを依頼することが出来ます。そもそも十分な品質で施工されていれば、工事完了後すぐにこのような不具合が起こることはありません。一般的に工事後すぐ、もしくは1~2年以内にこのような不具合が発生すればやり直しが可能な場合が多いです。ただし工事完了から数年が経過している場合、経年劣化が原因の可能性もあり、施工不良だと認められない場合があります。残念ながら経年劣化の場合、やり直しはしてもらえません。
業者によって対応はことなりますので、不具合を見つけたら必ず業者に連絡しましょう。
また足場解体後は高所のやり直しが難しい場合もあります。やり直しの内容やタイミングによっては、別途費用(追加料金)がかかることもあるので業者に確認が必要です。
指定した色と違う塗料で塗られている
お客様の指定した色と違う色での塗装はやり直しが可能です。
例えば「グレーを茶色で塗装している」や塗料の色番号違い「19-80D」を「19-80F」など明らかに業者が間違った色で塗装している場合は、当然やり直してもらえます。
しかし、「選んだ色で塗装してくれてはいるが、仕上がってみたらイメージと違った」という理由では、やり直してもらうことは難しいでしょう。
色は見る人によって、多少の違いが発生します。また日の当たり方や時間帯、外壁の素材によっても色は違って見える場合があります。
仕上がりのイメージを事前に業者と共有しておくと、塗装業者からのアドバイスも受けられるのでおすすめです!
その他業者側に落ち度のある場合
施工品質に問題があり、施工前の打ち合わせ内容と異なる施工がされた場合は、やり直しを依頼できます。その際、打ち合わせ内容を記した書面を残しておき、施工内容とのズレを確認することが重要になります。
やり直しができないケース
イメージしていた色と違った”といった理由ではやり直してもらえない
「色見本でチェックした色と、実際に塗った色の印象が違う」「選んだ色の塗料を塗ってみたら、イメージしていた印象の仕上がりにならなかった」など、仕上がり後の色について満足ができないという理由で、やり直しを希望するということは塗装工事においてよく聞く話です。
結論から申し上げますと、イメージと違ったというようなお客様の感覚的な理由で、やり直しをしてもらうことはできません。
もちろん、“選んだ色と、実際に塗られている色が違う”など、塗装業者側に明らかに落ち度がある場合は、やり直してもらえますが、それ以外の、施主側の感覚的な「イメージと違った」といった理由でやり直してもらうのは無理です。
施工前に色に関して、塗料の色見本で確認をしなかった場合は対応してもらえるかもしれませんが、色見本で指定した色がイメージと異なった場合はやり直してもらえません。
色見本で選んだ際は、お客様が選んだ色で施工をしているために、業者は対応をしてくれないのが一般的です。
色に対するトラブルを回避する方法としては、大きなサイズの色見本を作成してもらったり、中塗りの際に試し塗りをしてもらうなど不具合を起こさない工夫が必要になります。
また仕上がりのイメージを事前に確認できるカラーシミュレーションもおすすめです。
「どうしても違う色でやり直してもらいたい」という場合は、追加費用を支払ってやり直すしかないでしょう。追加費用としては、上塗材と工事費、すでに足場を解体している場合は+足場費用もかかります。
※塗料の種類によっては、やり直し時に塗り重ねをできない塗料もあります。詳しくは、塗装業者に相談してみてください。
外壁塗装のやり直しが可能でも、注意すべき費用
上塗り後
上塗りでは色のついた塗料を塗装していくので、この段階までくると色の変更は厳しくなってきます。どうしても塗料の色を変更したいのであれば、追加料金を支払う必要がでてきます。
仕上がり後、どうしても納得がいかないという場合は業者にお願いして塗装のやり直しをしてもらいましょう。
足場解体後
足場を解体してしまった後に、塗装の塗り残しや色ムラなどの不具合に気付いて指摘しても、十分な手直し工事ができなくなってしまい、もう一度足場を組み直す必要がでてきます。 足場があるうちに、仕上がり状態を確認の上、不具合があればすみやかに塗装業者に伝えるようにしましょう。 足場解体前には、塗装業者の方でも仕上がりの最終確認を行いますが、できれば施主立ち合いのもとで、完成検査を行ってもらう様にすると良いでしょう。
ただし事前に予定を決めておかないと、塗装工事の完了日の翌日には足場を解体されてしまうこともあるので、注意が必要です。
塗装のやり直しを考えている方へ|押さえておきたいプチ知識
やり直しの判断がつかない場合は塗装業者へまず相談
「塗装にムラがあるからやり直してほしい…」ということがあります。
塗装ムラは判断がしづらく、塗装業者に過失があるかどうかの判断基準も曖昧です。 判断がつかない場合は、塗装業者に相談をしてみることをおすすめします。業者に責任があるかわからないままやり直しを依頼して、結果追加料金を支払うことになってしまった…というケースもあります
逆に「やり直してもらうのは難しいのではないか」と思っていても、もしかすると、やり直してもらえるかもしれません。そのため、少しでも「もしかして…」と思うところがあれば、ひとまず塗装業者に相談するのが良いでしょう。
塗装業者へ相談するタイミング
塗装業者にやり直しの相談をするタイミングは、早ければ早いほど良いというのは、間違いありません。
塗装工事中は日を追うごとに「今更言われてもどうしようもない」ということが増えていくため、不具合を感じたら1日でも早い方が、何とかなることもあります。
また工事完了後でも、足場解体前であればやり直せることがありますが、解体してしまった後ではやり直しのハードルがグッと上がってしまいます。(足場がないと対応できない作業があるため)
また引き渡し後、早々に相談をするのと、時間が経ってしまってから相談をするのでは、塗装業者の対応も変わってきます。
そのため、「やり直しをしてもらいたい」と考えるのであれば、悩んで先延ばしにするのではなく、まずは早急に塗装業者に相談をするのが賢明です。
時間が経っている塗装の場合は経年劣化の可能性もある
塗装後、時間が経ってから塗膜の膨れや剥がれなどの不具合が発生した場合は、経年劣化が生じたというケースがほとんどです。経年劣化は、紫外線や雨風、温度変化などの影響で徐々に進みます。時間が経過してからの塗膜の膨れや剥がれは、やり直が難しいでしょう。
一方で、塗装後、早い段階(1~3年)で塗膜の膨れ・剥がれなどの不具合が生じた場合は、施工不良の可能性が高く、多くの場合やり直してもらえます。
やり直しをお願いする前には「保証書」を要チェック
塗膜の膨れ・剥がれなどの不具合のやり直しをお願いする場合は、業者へ連絡を入れる前に保証書を確認してみてください(※保証書は必ず発行されるわけではありません。塗装業者によっては、保証書を発行していないこともあります)。
発生している不具合が保証の対象であれば、スムーズにやり直しの対応をしてもらえるはずです。
塗装後すぐに不具合が発生した場合は、保証書がなくとも、多くの塗装業者がやり直しをしてくれます。しかし、塗装後しばらくしてから不具合が生じた場合は、やり直しをしてもらうのが難しい場合が多いです。
保証書があり、不具合が保証の対象であれば、確実にやり直しをしてもらえます。
アフターサービスについて確認
塗装工事の見積もり時や契約時に、アフターサービスについて確認しておきましょう。
具体的にどのような不具合に対応しているのか
アフターサービスの内容
塗装の剥がれ、膨れなど工事から時間が経ってから発覚する不具合への対応 など
以上のように、不具合が起こったときの対応をしっかり確認しましょう。悪徳業者に工事の依頼をしてしまっている場合は、不具合があっても無視されてしまう可能性があるので注意が必要です。
塗装業者とのトラブルは第三者機関へ
塗装のやり直しをめぐって「塗装業者にやり直しの相談をしたが、取り合ってもらえない」「明らかに塗装業者に落ち度があるのに、対応してもらえない」など、塗装業者とトラブルになってしまうことがあります。
自分たちでは、どうにも解決できない場合は、第三者機関に相談するのも一つの手です。
【第三者機関】
●公共財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住まいるダイヤル」
まずは、ここに相談するのがよいでしょう。国土交通大臣から指定を受けた住宅専門の相談窓口なので、より専門的なアドバイスが受けられます。
●消費生活センター
消費生活全般に関する苦情や相談の窓口
●全国の弁護士会での専門家相談
最寄りの弁護士会で弁護士と建築士との対面相談を無料で利用可
まとめ
今回外壁・屋根塗装工事のやり直してもらう条件について解説してまいりましたが、いかがでしたでしょうか。
不具合の対応の仕方は業者によって様々です。
「塗り残しがある」「塗りムラがある」など、明らかに塗装業者に落ち度がある場合は、基本的にやり直してもらうことができます。
一方で、塗装業者に落ち度はなく、「仕上がってみたらイメージした色と違った」といった施主側の感覚的な理由では、やり直してもらうのは難しいでしょう。
やり直しの内容や相談するタイミングなどで業者の対応が変わります。何か不具合に気付いた時点で業者に相談しましょう。
ただし、そもそも業者が悪徳で手抜き工事を繰り返している場合、塗装工事は結果的に失敗してしまうでしょう。残念ながら外壁塗装業界は本当に手抜き工事が多い業界です。
塗装工事を検討する際には事前にしっかり優良業者を見極めることが重要となります。
そのために、複数の業者を比較しながら、信頼できる業者を選ぶことが大切です。