塗装業界の裏を知って賢い業者選びを…
家の美しさと耐久性を保ち安心して暮らしていくために行う家のメンテナンス…塗装工事。一回の工事費用が高額になるため、一生のうちに何度も出来る工事ではありません。失敗したくない工事ですよね。ただ塗装工事には難しいところがあって、工事の効果が現れるのは工事完了から5年後以降です。素人では手抜き工事や性能の低い塗料を使用していることなどに工事中はもちろん、工事完了してからも気付くことは出来ません。工事に失敗したのか気付くのも時間が経たないとわからないということです。ここが塗装工事の難しいところなのです。
私共は皆様に工事の失敗を避けるために出来ることがあればと思い、今回は普段あまり耳にすることのない塗装業界の裏の話をさせていただきます。この記事を読まれて、少しでも良い業者選び・後悔しない良い工事をしていただけたら幸いに存じます。是非ご参考にされてください。
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嘘。オーバートーク。過剰表現ができる 塗装店が勝ち組となっている塗装業界
お客様が知らない、わからないからと嘘をついたり、知ったかぶり、オーバートークをするのが多い業界だと言えます。また、他の業種と異なり10年に1回程度の塗装工事となるため、リピート商売を意識しない都度感覚の業者がとても多い珍しい業界です。
他の業種では、いかにお客様にリピートしていただけるかが商売のカギとなりますが外壁塗装業界は、生涯に2回程度の方が多く、さらに工事内容の結果が出るのは5~10年後以降となるため、嘘やオーバートーク、過剰表現で契約させるその場しのぎの業者が後を絶たないのです。
このような業者は、塗料選定が良くなかったり、手抜き工事を行う確率が高くなります。
塗料メーカーに注意!
工場を持たない 「過剰表現」の塗料メーカーが増加
本来、商品を製造する会社がメーカーですが、最近の塗料業界で増えているのが中堅メーカーの塗料をプライベートブランド(PB)塗料にして、メーカーを謳う会社(以下、PB塗料会社)です。
そのほとんどが、大手塗料メーカーの商品ではなく安く仕入れることができる中堅メーカーの商品となっています。PB塗料は、耐久性や機能性がどの程度のものかわかりません。わかることは、製造している中堅メーカーの耐久性と機能性を超えることはないということは言えます。しかし、立派なパンフレットを作って耐久性や機能性を過剰に謳っています。大手塗料メーカーの技術でも20年以上の耐用年数を持つ塗料は未だ存在していません。「売りやすい」「高利益」の塗料を欲しがる塗装店の理想は、メーカーが相場より長期耐久性、高機能性を謳っていて尚且つ安く仕入れることができる塗料です。PB塗料会社は、耐久性や機能性の過剰表現と安さで取り扱い塗装店を増やしています。もちろん、塗装店は本当のところ中身がどの程度の塗料かわかるはずもありませんがPB塗料会社が謳っていることを鵜呑みにしています。
PB塗料会社は、塗装店への販売価格が「直販だから安い」と謳っていたりしますが通常の流通経路と変わりません。
■PB塗料の流通経路は、
①塗料メーカー→②PB塗料会社→③塗装店 の2経路。
■通常塗料の流通経路は、
①塗料メーカー→②卸業者→③塗装店 の同じ2経路です。
安さの秘密は、逆算するとPB塗料会社の中堅塗料メーカーからの仕入れ値が凄く安いということになりますので、まともな塗料なのか疑問が生じます。塗装店は、「売りやすさ」と「高利益」となるため、お客様に提案する塗装店が全国的に急増しています。
塗料の耐久性試験の実態
塗料耐久性に注意!
塗料メーカーのカタログには、塗料の耐候性を示すためのグラフがあります。この耐候性は、キセノンランプ試験やスーパーUV試験などの特殊な試験で評価されます。促進耐候性試験装置は複数のメーカーから提供されており、メーカーやテストの設定によって結果が異なることがあります。
実は多くの塗料試験が塗料メーカー社内試験となっていますので、長期耐候性を謳うこともできてしまいます。
塗装業者に注意! ~業者が売りたいがための手口~
外壁塗装は家の寿命や外観に大きな影響を与える重要な工事です。しかし、その費用は決して安くはありません。優良な業者を選びたいところですが、専門的な知識がないと業者の仕事の品質を判断するのは難しいです。だからこそ、業者選びには細心の注意が必要です。単に「安いから」とだけで考えるのではなく、信頼性のある業者を選ぶことが重要です。価格につられて悪徳業者に騙されないようにしましょう。
今回は、悪質な業者から身を守るために注意すべき「業界の裏話」をお話していきます。
大手塗料メーカー以外を勧める
外壁塗装で必要な塗料を大手塗料メーカーではなく、中堅塗料メーカーや製造工場を持たないメーカーをしきりにアピールしたり、製造元がよくわからないオリジナル塗料を過剰表現して勧めてくる業者は避けたが良いでしょう。オリジナル塗料は自社ブランド品となるため相場より長期耐用年数を謳い、高級塗料と謳いながら安価で塗装店に販売しています。塗料を長い間追求し続けた開発費や実績からも大手塗料メーカーは安心と言えます。お客様の要望に応じて自社塗料だけではなく、複数の大手メーカーの塗料も提案してくる業者は信頼性が高いです。
耐久20年以上の塗料を謳う
「耐用年数30年以上!」などと過剰なトークをしてくる業者には要注意です。外壁塗装における「耐用年数」とは、塗装をしてから次の塗り替えが必要になるまでの年数のことを指します。現在、大手塗料メーカーの技術でも30年以上の耐用年数がある塗料は未だに存在していません。外壁塗装は高い買い物になりますので、できるだけ長持ちする塗料を使って、塗装をする回数を減らしたいと思うかもしれません。しかしこのように過剰なトークで消費者を動揺させ契約をせまるという悪質な手口で営業する業者も存在しますので、耐用年数だけに気を取られないようにご注意ください。不安に思ったときは疑うことも大事です。
自社ブランドの塗料
全ての業者ということではないですが、悪徳業者が使う手口に自社オリジナル塗料を使った営業が多いのも事実です。競合他社と差別化を図るために、他の塗装業者では取り扱っていない「独自の塗料」と謳って特別感をアピールしてくることが多いです。これは自社ブランドの商品を「他の塗料よりも優れている」と宣伝しプレミアム感を出して、実際は安価な商品を高値で売りつけることを行うことです。実際、自社オリジナル塗料なので他の塗料と比較ができないところがデメリットです。「自社塗料」や「オリジナル塗料」を勧められた場合は即決せずに他の業者の見積もりをとり比較されてください。
無機塗料に注意
無機塗料とは非常に寿命が長く、耐火性や耐候性にも優れた人気の塗料です。この無機塗料で気をつけたいのが、無機物が“何パーセント含まれていたら無機塗料”という定義が決まっていないため、数パーセントでも無機成分が入っていれば無機塗料と表記できてしまいます。つまり、少しでも無機物が含まれていれば無機塗料といえてしまうのです。そのため、無機塗料の中には質の良くないものや安価な無機塗料を高額な価格で勧めてくる悪質な業者もいます。
基本的に大手塗料メーカーが製造する「無機塗料」であれば、無機物の含有量が少量と言うことはほとんどありません。
あまり聞いたことのないメーカーの塗料や自社開発を謳う「無機塗料」には注意が必要です。
チラシやホームページに注意
自宅の外壁塗装が必要かどうかを考えた際、多くの人がどのように塗装業者を見つけるでしょうか…。少し前までは営業マンが足を運び営業していましたが、今やインターネットで何でもわかる時代。インターネットを使って簡単に業者のウェブサイトを見つけることができるため、多くの人がネット検索で業者を探す方法を選んでいます。ここで注意していただきたいのが、ホームページやチラシでの過剰なまでの広告です。「無料」や「半額」などの表現でお得感を出して目をひいていますが、商品を売るためのオーバートークがほとんどです。必ず裏があると思って内容を鵜呑みにしないよう注意しましょう。
※気を付けよう!Googleの口コミ数が多い業者
皆さんも何かを買うときやお店を選ぶときなど、そのお店についての口コミやレビューを一度は参考にしたことがあるのではないでしょうか。塗装工事は業者選びが難しいので、実際施工された方の口コミ評価などを参考にする方が増えています。注意していただきたいのがGoogle口コミで「さくら」を使って口コミを投稿する「さくら投稿」などを使っている業者があります。本来これらの投稿はGoogle規約に違反しています。良いことばかりの口コミやあまりにも数の多い口コミの業者には気を付けましょう。
足場代無料・半額
塗装店のチラシや訪問販売で多い『今なら足場代無料!』または「キャンペーンで足場代を半額!」というお得感を出して謳っている業者があります。「近くで工事をしているため、そこで利用している足場を利用すれば足場代を無料にできます!」などと、いかにも信ぴょう性のある理由をつけてお得感を出してきます。また見積書にも「足場代=0円」などと記載されていますので、お得に工事ができると感じてしまいます。そもそも足場代は戸建てで10~20万円前後かかります。足場代無料は魅力的なので、今ならと言われれば即契約してしまいそうですが、実際は、元の金額を高くして足場代無料と謳い安く見せる手口で、他の項目に足場代分の費用が加算されているパターンが多いです。無料や半額という言葉には何か裏があると考え注意しましょう。
保証年数が10年以上
外壁塗装は大きな費用が必要になるだけに、保証も気になりますよね。高い費用の分保証年数は長ければ長いほどいいのですが、「契約するため」に、保証年数や耐用年数を相場より大きく上回って長く謳う業者が増えています。10年保証というだけで内容を確認せずに塗装業者を即決で決めるのはおすすめしません。なぜなら、保証対象となる範囲が狭いなど、万が一施工不良が発覚したとしても、保証を使えるケースは限られていて保証外というケースが多いからです。実際に保証が適用されるのは、工事をしてから数年後になりますので、そこに付け込みいいように顧客を騙そうとする悪徳業者も存在します。このように「売りたいを優先する」業者は、後々の対応が悪い傾向にあります。他と比べてみたり、安易に信用せずその業者を疑うことも大切です。
モニター価格を謳う
「この地域で弊社の外壁塗装工事の実績を作りたいので、モデルになってくれる家を探しています。モニターとして工事をするのであれば格安で外壁塗装ができます。」などと、格安感を前面に押し出して話をすすめてくる営業マン。このようなセールストークを耳にされたことはありませんか?これはモニター商法という手口で訪問販売業者に多いセールストークです。また「今」を強調して契約を急かしてきます。特別感・格安感を感じ安さにつられて契約してしまいそうですが、モニター価格には必ず落とし穴があり、実際は払わなくてもよいお金を悪徳業者に支払うこともありますので、絶対に即決で契約しないようにしましょう。
先着○○棟限定
ホームページやチラシなどで見かける「先着〇〇棟限定」というキャンペーン。
「この地域先着〇棟限定で外壁塗装のモニターを探しています!」モニター価格と聞くと魅力的でお得に感じますが、実際は使われる塗料のグレードが低かったり、塗装面積が決められていることがあり「どこまでの工事をやってもらえるのか?」を確認しないと別途料金や追加料金で通常の代金よりも結果高くなってしまうということになります。外壁塗装自体が高額なリフォーム工事であるため、業者が格安感や限定感を強調して即決を急かす場合には要注意です。実際にこの段階では格安(追加料金等が発生しない)なのかどうか確かめる方法が難しいため、他の業者にも見積もりを依頼することが賢明です。
訪問販売
悪徳業者で最も使われる手法「訪問販売」。外壁塗装は一生に何度も経験しない一大イベントです。それをたった1日で、ほんの少しの時間で決めてしまってはいないですか?
訪問販売業者は「大変です。屋根にひび割れがありますよ。このままだと1ヶ月もしないうちに雨漏りが発生します!」と脅しにも近いトークで突然家に現れ、迷っていると「今月は特別キャンペーンを行っており、今すぐ契約して頂ければ、通常の半額で施工が出来ますよ!」と相見積もりする隙や、考える時間を与えさせない手段で話がどんどんすすんでいき契約をさせる。これは訪問販売で最も多く使われている手法です。
「モニター」「限定」「キャンペーン」などお得な話をしてこられると、つい聞き入ってしまいます。また「自社で開発している格安な塗料」とオリジナル塗料も訪問販売に多く使われる手口です。もちろん、訪問販売という営業をしている会社全てが『悪徳』というわけではありませんが、トラブルが多く発生しているのも事実ですので注意しなければいけません。いざというときのために断り方を知っておくのもいいと思います。
注意したい業者 ~見えていないところではこんなことをしている~
◆塗料在庫処分セール
「塗料在庫処分セール!」などのお得感で集客を狙っています。しかし、1棟分の人気色で同色同塗料での在庫はないため通常価格と同じになります。
◆100%自社施工を謳う
「100%自社施工!」の実態は職人を雇っていたとしても下請けと自社職人の両方でやることがほとんどです。嘘を簡単つける業者だということがわかります。
◆塗料を必要以上に薄めて塗る
塗料注文数量を抑え、材料費を抑える手口。塗料メーカーの規定希釈率以上に薄めて塗ると期待する塗料耐用年数、性能は発揮されません。
◆素材に適しない材料を使用
劣化状態や下地材に合った下塗り塗料を選定しないと後々の塗膜剥がれ、膨れの不具合が発生します。下地状況を見極め的確な塗料選定の知識が必要なのです。
◆塗り回数を減らす
見積内容とは違い、バレないよう塗り回数を減らし、材料・人件費を抑え利益を出す業者がいます。メーカー仕様通りに塗らないと塗料性能が発揮されません。
◆見積内容と違う手抜き
原価を抑えるために契約内容と違う手抜き工事をする手口。コーキング打ち替えを増し打ち、塗料変更、塗り回数など手口は多岐にわたります。
※他にもこのような業者は注意しましょう
【塗装専門店ではない】
最近では少し塗装知識と営業トークを学んで、他業種から塗装専門店を謳う参入業者が全国的に後を絶ちません。塗装知識が乏しく注意が必要です。
【小さな塗装店】
小さな塗装店は元請(お客様と直接取引)経験が少ないため、足場組立知識や色選び提案、工事時の近隣配慮、保証などの充実さに欠けるところがあります。
まとめ
今回は、一般的にはあまり知られていない「塗装業界の裏話」についてお話しました。塗装業界は昔から、顧客と業者のトラブルが多い業界として広く知られています。
外壁塗装をご検討中の方々に向けて、悪質な業者から守るために知っておいていただきたい代表的な手法について紹介しました。
塗装はおおよそ10年周期で行うのが目安となっていますが、そもそも手抜き工事などをされては10年ももたずに塗装を行うことになり、大きな出費につながります。
塗装工事の難しいところは、工事が終わって数年後にしか結果が出ないところです。そのため信頼できる業者を選びたいものです。
価格や勢いに惑わされず、業者が誠実に仕事をするかどうかを注意深く確認することが肝心です。初めての経験でわからないこともあるかもしれませんが、必ず複数の業者から見積もりを取り、比較検討を冷静に行い、信頼できる業者を選ぶことで、安心して外壁塗装を進めることができます。
初めて塗装をされる方、これから塗装を検討されている方にしっかりと塗装の知識をつけて見分けられるように、この記事で皆様のお手伝いができれば幸いです。