「先打ち」と「後打ち」の使い分けについて
「目地の割れが気になりだした」「目地がやせてきた」など外壁で一番早く劣化してくるのがシーリングです。
外壁のシーリングには、補修の際「シーリング材の上に塗装する工法」と「シーリング材の上に塗装しない工法」の2つがあります。どちらが良いのかという質問は多いですが、それぞれにメリット・デメリットがあり、どちらが正しいというものでもありません。今回はシーリングの先打ち、後打ちについてお話させていただきます。
シーリング材「先打ち工法」「後打ち工法」
シーリング材の上に塗装する場合としない場合があります。シーリング材を施工してから塗装する工法(シーリング材の上も塗装)を先打ち工法といい、外壁面の塗装を終えた後にシーリング材を施工する工法(シーリング材の上は塗装しない)を後打ち工法といいます。
【先打ち工法】
メリット:塗膜により紫外線や雨風からシーリング材の保護をすること、見た目がきれいになることです。
デメリット:塗装とシーリングの伸縮性は異なり、住宅が揺れた時にそれぞれ違う動きをしてシーリング上の塗膜がヒビ割れを起こす可能性があります。ヒビ割れができると見た目にも影響してくるので、綺麗な仕上がりにしたい方にとってはデメリットとなります。
塗膜の表面が割れている状態であればシーリングには問題がありませんが、見た目が悪いためシーリングの色を外壁の色の近似色を使用するなど工夫が必要です。
《劣化症状と補修方法》
先打ち工法を行った場合、塗膜がシーリングの上にありますので先に塗膜の劣化が発生します。そのため、補修の緊急度はそれほど高くないので、次の塗り替えの際に一緒に補修することをおすすめします。
ただし塗膜の劣化から長期間の放置はシーリング自体の劣化が発生しますので、ひび割れなどの劣化の場合は内部に湿気や水が侵入してしまうので早めの補修をおすすめします。
先打ち工法で気を付けておくこと!
①シーリング材はノンブリードタイプを使用する
シーリング材から出る成分が少なく、にじみ出にくい原料を使用することで塗膜へのにじみ出しを抑えたものです。
②なるべく弾性系塗料で塗装すること
弾性系塗料とは、乾燥後の塗膜が比較的柔らかいタイプの塗料です。
③外壁と同じような色のシーリングを使うことで塗膜にひび割れがおきても目立たないようにできます。シーリングの色は外壁に合わせて選ぶといいでしょう。ただし色の種類が幅広いわけではありませんので同じ色がないときは近似色から選ぶようにしましょう。
【後打ち工法】
メリット:表面塗膜の表面のひび割れの心配がないことです。
デメリット:紫外線や雨風にさらされるので、シーリングの持つ耐用年数は期待できないことです。また塗装が完了した後に既存のコーキングを撤去するためにカッターを入れていきますので外壁を傷つけないように慎重に作業を進める必要があります。
《劣化症状と補修方法》
一般的に建物におけるシーリング材は建材同士がぶつかり合うのを防ぐ建物の動きを吸収するクッションの役割、建物内部に雨水や湿気を浸入させないように防水性・気密性を高めるといった目的があります。劣化したシーリング材では、役割を果たすことができません。そうなるとシーリング材を打ち替える必要がでてきます。シーリング材の〈ひび割れ〉・〈破断〉・〈肉やせ〉などの劣化症状がある場合は、早めに補修することをおすすめします。
《プチ知識》シーリング
シーリングの補修方法は①打ち替えと②増し打ちの2種類があります。
打ち替えと増し打ちどちらがいいのかというところですが、基本的には打ち替えをおすすめします。理由としては古いシーリング材をすべて撤去して中身を新たにするため、耐久性も良くなるからです。また外壁と目地の隙間をしっかり埋めて、防水性や柔軟性も確保できます。増し打ちの場合は、古いシーリングと新しいシーリングがうまく馴染まず、剥がれてしまうこともあります。増し打ちよりも手間や費用はかかりますが、建材のメンテナンスには打ち替えがベストです。ただし元のシーリング除去が困難な箇所(窓・サッシ回り)の場合は増し打ちをおすすめします。
まとめ
いかがだったでしょうか。
結果的には〈シーリング材の上に塗装をする〉〈シーリング材の上に塗装しない〉のどちらのパターンもあり得ます。
先打ち・後打ちのどちらで行うかは、好みだけで決めるのではなく外壁の状態や使用するシーリングの種類などを業者と相談して決めるといいでしょう。すでにひび割れ等の劣化症状が発生している場合は、補修方法を参考にされて、塗装業者に相談してみることをおすすめします。