リフォームでも条件を満たせば住宅ローン減税制度が利用できる
建物のリフォームは、紫外線や雨から守るために欠かせない工事です。特に大型物件の工事費は高額になるのでかなり負担になってしまいます。このような負担を軽減するために公的なサポートがいくつか設けられています。その一つに「住宅借入金等特別控除」があります。この制度を上手に利用すれば負担する費用を抑えることができます。住宅ローンを利用して、増築や省エネ、バリアフリーリフォームなど、100万円を超えるリフォーム工事をした場合には、住宅ローン減税の対象になります。
入居した年から10年間(13年間※)、ローン残高の1.0%が所得税額から控除されます。所得税から控除しきれない分は住民税からも一部控除が受けられます。
住宅ローン減税の制度は、毎年変更されていますので、利用前には国交省のホームページや税務署などで最新の情報を確認しましょう。
※消費税率10%が適用される住宅で、2019年10月~2020年12月末までに居住開始する場合は、控除期間が13年間に延長。
11~13年目までの控除限度額は、住宅ローン残高の1%かリフォーム費用のいずれか少ない方の額この記事では、税金を控除する条件や手続き方法などについてお話していきます。
住宅借入金等特別控除は、「住宅ローン減税」「住宅ローン控除」とも呼ばれ、住宅ローンの返済額や返済期間などが一定の条件を満たしている場合、所得税の控除を受けることができる制度のことです。
住宅ローンというと「家を買うとき」「家を建てるとき」など、住宅を新規に取得するときに利用するというイメージがありますが、実は外壁塗装をはじめとしたリフォームのための「リフォームローン」でも住宅借入金等特別控除を受けられることもあります。
控除される金額は、外壁塗装工事のためにローンを組んだ金額の年末時点の残額の1%です。
たとえば、外壁塗装の工事で1,000万円のローンを組み、年末時点で残額が900万円だとします。この場合、その年の所得税から最大9万円が控除されることになるのです。
控除が受けられる期間は、10年間です。(2019年10月から2020年12月末までの入居の場合は13年間)また、控除できる金額の上限は40万円です。
対象になるリフォーム工事
住宅ローン控除を利用して負担する費用を抑えたいところですが、全ての工事で控除が受けられるわけではありません。住宅ローン控除の適用には、細かく設定された条件を満たしている必要があります。住宅ローン控除を適用するための条件は以下の通りです。
いずれかに該当する改修工事であること
・大規模の修繕又は大規模の模様替えの工事(増築、改築、建築基準法に規定による)
・マンションなど区分所有部分の床、階段又は壁の過半について行う一定の修繕・模様替の工事
・家屋の居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関又は廊下の一室の床、壁の全部について行う修繕・模様替えの工事
・耐震改修工事
・一定のバリアフリー改修工事
・一定の省エネ改修工事
対象となる改修工事費用から補助金等の額(平成23年6月30日以後契約分から)を控除した後の金額が100万円超であること
居住部分の工事費が改修工事全体の費用の1/2以上であること
利用の要件
・住宅の引渡し又は工事の完了から6か月以内に、自ら居住すること
・リフォーム工事費が100万円を超えるもの
・リフォーム工事後の床面積が50m2以上
・住宅ローンの返済期間が10年以上
・合計所得金額が3000万円以下
住宅ローン減税を利用する際に必要な書類と手続き
《減税の申請に必要な書類》
・住宅ローンの年末残高を証明するもの
・増改築等工事証明書
・塗装する建物の登記事項証明書(登記簿謄本)
・源泉徴収票(会社員の場合)
・住民票の写し
・補助額を証明するもの(補助金を利用した場合)
《住宅ローン減税手続きの方法》
住宅ローン控除の申請をするには、ローンを組んだ年の翌年に税務署で確定申告をしてください。
会社員であれば通常は年末調整だけで確定申告をすることはないと思いますが、控除を受けるためには確定申告が必要になります。毎年2月中旬に国税庁のホームページに確定申告書等作成コーナーが表示されます。そちらにアクセスして案内に従い必要事項を入力し書類を作成します。国税庁から入手する書類は、『確定申告書(A)』と『住宅借入金等特別控除額の計算明細書』です。書類を入手しましたら、用意した他の書類も一緒に管轄の税務署に提出しましょう。
確定申告の期限は、毎年大体2月中旬~3月中旬です。
万が一間に合わない場合や申告漏れがある場合でも、過去5年分まで遡って確定申告が可能なのでご安心ください。
住宅ローン利用以外の減税制度
住宅ローン減税を利用しない場合でも利用できる減税措置があります。
住宅ローン減税以外の減税措置には投資型減税とされる住宅特定改修特別税額控除があります。投資型減税とは、耐久性や省エネルギーの面で優れた住宅を一括で購入・リフォームした場合に利用できる減税措置です。一括で支払った場合でも控除が受けられるため、住宅ローンを利用しない場合には投資型減税を利用しましょう。ではどうすれば投資型減税を受けられるのでしょうか?
投資型減税が適用されるのは下記のリフォームのうちいずれかを行った場合となっています。
《バリアフリー住宅として性能を上げるためのリフォーム》
居住の対象期間:平成26年4月1日から令和3年12月31日
控除限度額:25万円
《住宅の省エネ性能を上げるためのリフォーム》
居住の対象期間:平成21年4月1日から令和3年12月31日
控除限度額:20万円
《多世帯同居のためのリフォーム》
居住の対象期間:平成28年4月1日から令和3年12月31日の間
控除対象限度額:25万円
《耐久性向上のためのリフォーム》
平成26年3月までのリフォームは「長期優良住宅」として認められた住居が対象。控除対象限度額は 500万円。最大控除額は50万円。
平成26年4月から令和3年12月までは「長期優良住宅」または「低炭素住宅」として認められた住居が対象。控除対象限度額は650万円。最大控除額は65万円。
外壁塗装では、塗料に断熱・遮熱性のあるものを使用すれば上記のうち省エネリフォームとして認められるため、要件を満たしているか確認してみましょう。
【省エネリフォームの適用要件(外壁リフォームに関する部分のみ要約)】
・居住用の物件であること。2つ以上の住宅を所有している場合、主に住んでいる住宅のみが対象。
・控除を受ける年の所得金額が3000万円以下。
・省エネまたは断熱性能が平成28年基準相当以上。
・工事費が50万円を超える場合
・住宅の床面積が50㎡以上、床面積の1/2以上が居住用である
まとめ
外壁塗装で住宅借入金等特別控除を利用するためには設定されている条件を全て満たしていることが重要なポイントとなります。外壁塗装は決して費用が安いわけではないので、利用できる制度は最大限に活用したいところですよね。100万円以上の外壁リフォームを検討している方は是非この住宅ローン減税の制度を利用してお得にメンテナンスされることをおすすめします。
また住宅借入金等特別控除などの減税制度に詳しい業者を選ぶと安心して施工や申請を行うことができます。確定申告は馴染みがないので手続きに戸惑うこともあると思いますが、余裕を持って準備をはじめ、困ったときは税務署や業者に相談しながら手続きをすると安心です。