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瓦屋根の塗装は絶対に必要なのか?

目次

寿命が長く歴史のある屋根材

日本で古くから使われてきた屋根材…「瓦」。
瓦と聞いてイメージするのは寺社のような和風建築のものですか?それとも地中海風の建物によく見られるオレンジ色の屋根でしょうか?

日本が誇る寿命の長い屋根材として粘土瓦があります。古いお寺や歴史的建造物である城の屋根などにも使われています。粘土瓦が最初に登場したのは、今から約1400年前の飛鳥時代と言われています。
粘土瓦とは、粘土を瓦の形に成形し乾燥させたのちに1.000度以上の高温で焼き上げた建築材料で、釉薬を塗ったり、瓦をいぶすことで表面に塗膜を作り風雨にさらされても耐久性の高い屋根材に仕上げています。
粘土から造られた瓦は、塗装の必要がなく非常に耐用年数が長いです。寿命は50年とも100年とも言われています。しかし、瓦と呼ばれる建材の中にも塗り替えが必要なものがあります。もしかしたら塗装の必要がないと思っていたご自宅の屋根瓦はメンテナンスが必要である瓦かもしれません。

今回は「瓦」のメンテナンスや見分け方についてお話していきます。

 

屋根に使われる瓦の種類

建築業界やリフォーム業界では、「瓦」と言うと粘土瓦を指すことが多くあります。ただし粘土瓦以外にも「〇〇瓦」と呼ばれているものがあります。セメント瓦、コンクリート瓦、スレート瓦、モニエル瓦など、これらは使用している素材が異なりますので、粘土瓦と混同しないようにしましょう。

今回は一般住宅の屋根に使われる形状が似ている瓦3種類を比較してみました。
「粘土瓦」「セメント瓦」「モニエル瓦(乾式コンクリート瓦)」この中で、塗装が必要ないと言われているのは粘土瓦です。専用の塗料を使用すれば、塗装をすることはできますが、塗料が密着しないのですぐに剥がれてしまう可能性が非常に高いです。同じ瓦でもセメント瓦とモニエル瓦は塗装が必要になります。

 

 粘土瓦

 

瓦は自然界に存在する粘土を捏ねて窯で焼いたもの。建物の屋根を葺くのに使われる瓦は 、飛鳥時代に百済からその技術が伝えられて以来ずっと使われてきました。 もともとは寺社仏閣の建築資材でしたが、次第に一般住宅にも使われるようになり、現在に至ります。耐久性が非常に高く、自然災害などでの破損がなければ、50年以上もしくは100年程使用することができます。粘土瓦には、代表的なもので釉薬をかけて焼いた「釉薬瓦」、焼いた後に燻した「いぶし瓦」、そのまま焼いた「素焼き瓦」などがあります。基本的にどの瓦でも断面や角が丸みを帯びているのが特徴です。

 

メリット

■高寿命で耐久性が高い
粘土瓦の耐用年数は製造方法によって若干異なりますが、陶器瓦では50年以上と高寿命なのが特徴です。表面はツルツルしていることから汚れが付きにくく外観の変化がしにくいです。また高温で粘土を焼き上げているため、瓦自体が非常に強く割れたり破損しにくくなっています。

 

■防音性に優れている
瓦自体の厚みと野地板との間に空気の層ができることから、防音性に優れており雨音などきにならないというメリットがあります。

 

■色褪せ・色落ちしにくい
粘土瓦でも釉薬を塗って焼きあげた陶器瓦では、色褪せや色落ちすることがほとんどありません。いぶし瓦は時間が経てば黒く変色したり色むらが発生することがあります。ただこの色むらは劣化ということでなく瓦の性能に何ら問題はありません。

 

■サビが発生しない
粘土瓦は金属製でないため、サビは発生しません。ただし、いぶし瓦ではまれに粘土に含まれている鉄分と雨水が反応して、サビができることがあります。いぶし瓦にできるサビは内部にまで進むようなものではなく、表面の層に発生するもので瓦の品質には悪影響を及ぼしません。

 

■防水性が高く雨漏りしにくい
粘土瓦は防水性が高く雨漏りしにくいというメリットがあるので、雨が多い日本ではおすすめの屋根材です。ガラス質や炭素塗膜により表面を覆われているため、水を通すことがないからです。また瓦を屋根に葺く際もつなぎ目は重ねて施工する場合がほとんどなので、下地にまで水が入り込むこともありません。

 

■断熱性の高さ
金属に比べると土は断熱性が高いといわれています。粘土瓦は土でできており、厚みもあることから断熱性に優れた屋根材です。また、瓦屋根は瓦同士が重なっているためこのすき間が空気層となり、外の熱が伝わりにくい構造となっています。そのため、湿気がこもることなく夏は涼しく冬は暖かな家となります。

 

デメリット

■重量があるため耐震性は低い
粘土瓦の一番のデメリットは、瓦の重量が重く建物の耐震性が低下することです。陶器瓦の重量は1枚当たり約2.7~3.6㎏、これに下地などを加えると一坪当たりの重量は230~300㎏ほどになります。建物は重心が上にいくにつれて耐震性が下がります。現在の建築基準で建てられた住宅であれば、十分な耐震性を確保する工事がされています。心配な方は耐震性を調査してもらい、耐震性問題がある場合は軽い屋根材へ葺き替えるなどの対策を取りましょう。

 

■費用が高い
粘土瓦はメンテナンスの費用が高いうことがあります。これは屋根材自体が高額なことに加えて、施工に手間や時間がかかるため工事費が高くなるのが理由です。
初期費用は高くなりますが、その後のメンテナンスにほとんど費用がかからないので、屋根材を選ぶ際にはこの先のメンテナンス費用のことを考えトータルでお得な屋根材を選ぶようにしましょう。

 

■台風・強風で二次被害にあう
重さのある瓦屋根は、台風や突風といった強風で瓦が落下する危険があります。重量があるので風に舞うことなくそのまま真下に落下し、落下地点のものを破損します。住宅を直撃すると窓ガラスが割れたり、人にあたると大けがをすることもありますので注意が必要です。

 

劣化症状

・瓦の割れ
・瓦のズレ
・変色
・コケや藻の発生

 

メンテナンス

粘土瓦には塗装メンテナンスの必要がありません。他の屋根材に比べて耐久年数が長く、耐火性や防水性に優れているので、塗膜で保護する必要がないためです。初期費用はかかりますが長い目でみてトータルコストが抑えられます。

ただし屋根を構成するのは屋根材だけでなく、雨どいや下地なども含まれています。それらの耐用年数は瓦のように長くないため、それぞれの耐久性によって交換や補修が必要となります。

 

セメント瓦

セメント瓦とは、セメントと川砂を混ぜ合わせて作られた屋根瓦のことです。セメント瓦は粘土瓦よりは価格が手頃で扱いやすいため多くの一般住宅で使用されていました。

耐用年数は30~40年ほどあり、耐久性にも優れています。セメント瓦はさまざまな形状があり、粘土瓦に比べると価格も安いため、以前は多くの住宅に使われていました。しかし、粘土瓦と同じくらい重量があり塗装のメンテナンスが必要ということや、ほかに低価格で耐久性が高い屋根材が開発されたことで、現在新規採用はほとんどありません。

 

メリット

■形が選べる
セメント瓦は形を加工しやすく様々な形が製造されており、お好みの形を選ぶことが可能です。
和瓦から洋瓦まで種類が豊富で、屋根の形状や建物などデザインに合わせて適したものを選ぶことができます。

 

■サビない
セメント瓦は材料にセメントや川砂を使用しているため、金属のようにサビることがありません。屋根は常に太陽光や風雨にさらされるため、建物の中で劣化が現れやすい場所でもあるので、サビないというのは屋根材として大きなメリットです。

 

■耐火性に優れている
セメントと川砂でできているため燃えにくいです。

 

デメリット

■塗装が必要
原材料がセメントなので塗装をする必要があります。セメント瓦は防水性がないため塗装をしないと水分が中に染み込んで劣化してしまいます。塗膜にふくれやひび割れなどが発生したら塗り替えのタイミングです。業者に点検を依頼し適切なメンテナンスをしましょう。

 

■防水性が落ちると雨漏りしやすい
セメント瓦は表面の防水性が低下すると雨漏りしやすいです。特にセメントは材質自体に防水性がありません。表面に塗料を塗り塗膜を維持することで防水性を保っています。

 

■耐震性が高くない
セメント瓦は重量があるため耐震性や耐久性があまり高くありません。また重量があるため屋根が重くなり建物の耐震性が低下する恐れがあります。

 

■カビ・コケの発生
表面の塗膜が剥がれるとカビやコケが発生しやすくなります。セメント瓦は劣化が始まると表面がザラザラした状態になります。雨水が染み込んでザラザラの表面に胞子が付着するとカビやコケが発生してしまいます。

 

■塗膜の色褪せが気になる
表面の塗膜が劣化すると色褪せが気になるのもセメント瓦のデメリットです。耐用年数を過ぎると徐々に劣化して色褪せが始まります。

 

劣化症状

・塗膜の剥がれ
・ふくれ
・色褪せ
・瓦のズレ
・コケやカビの発生

 

メンテナンス

セメント瓦は築10~15年ほど経つと、色褪せやカビ・コケが発生します。そのような状態になったら塗装によるメンテナンスが必要な時期です。放っておくとセメントが水を吸って雨漏りや屋根内部の腐食の原因に繋がります。瓦の耐久年数に関わらず、定期的にメンテナンスして寿命を延ばすようにしましょう。

 

モニエル瓦

モニエル瓦とは、セメント瓦の一種でセメントと川砂を混ぜ合わせて作られる「乾式コンクリート瓦」のことです。主な内容成分がセメントであるため、セメント瓦と同じく塗装しなければ瓦自体に防水性能はありません。断熱性や耐震性にも優れているだけでなく、施工性が良くデザインにも多様性がある大変有能な屋根材です。

瓦表面の処理が特殊になっています。着色スラリーというセメントの着色剤を塗られており、その上をクリアー塗料を塗って完成させる方法で、通常のセメント瓦とは少し異なります。
軽量でデザイン性も高くカラーバリエーションも豊富なので、使用頻度が多かったのですが、現在は日本で生産されておらず新品が無いため交換することができません。

 

メリット

 

■防水性に優れている
モニエル瓦はスラリー層を表面に形成しているので強い雨にも耐えられる強度を持っています。その為防水性に非常に優れています。

 

■遮熱性や防音性に優れている
モニエル瓦は素材自体が頑丈に出来ているため、遮熱効果・防音性にも優れていて雨音が気になりません。

 

■デザイン性が高い
モニエル瓦は様々なデザインがあり、他の瓦よりも豊富な色から選ぶことが出来ます。

 

デメリット

■重量が大きい
主成分がコンクリートのモニエル瓦は、金属屋根と比較して約8倍の重さがあります。屋根材が重さは建物の耐震性に影響するデメリットがあります。

 

■塗装が必要
原材料がセメントなので瓦の表面に塗装をする必要があります。塗装のコーティングが剥がれた状態が続くと水が染み込むことがあります。

 

■メンテナンスに細心の注意が必要
瓦が劣化して再度塗装する際は、瓦表面にあるスラリー層を徹底的に取り除かなければ古いスラリー層と一緒に塗膜が剥がれてしまいます。高圧洗浄と古いスラリー層の除去は細心の注意が必要です。

 

劣化症状

・ヒビ割れ
・色褪せ
・コケやカビの発生
・塗膜の剥離
・チョーキング

 

メンテナス

主に成分がセメントであるため、塗装しなければ瓦自体に防水性能はありません。モニエル瓦の塗装は表面のスラリー層をしっかり取り除くことが重要です。スラリー層の上から再塗装すると旧スラリー層と一緒に塗膜が剥がれ落ちてしまう可能性があります。そのため一般の屋根に比べて高圧洗浄を念入りに行う必要があります。モニエル瓦は築10年前後を目安に塗装をするようにしましょう。

 

粘土瓦(陶器瓦)とセメント瓦の見分け方

瓦には種類がありご自身の家が瓦を使ってはいるが瓦の種類は何だろう?と見分けがつかないこともあります。ほとんど同じように見える屋根瓦ですが、粘土瓦とセメント瓦の屋根には見分け方があります。

 

◆粘土瓦
①生地の色が赤っぽい
釉薬が塗られていない部分は、他の瓦に隠れてしまうのでほとんど見えませんが、わずかに生地の赤っぽい色が見えることがあります。赤っぽい色の生地があれば粘土瓦です。
②棟の部分に漆喰・葺き土があるか
棟の下が奥まっていて、漆喰などの湿式材が使用されていたら、瓦屋根です。湿式材は雨に弱いので、棟の下に入り込んでいます。

 

◆セメント瓦
①生地が白っぽい
②棟はセメント製の面戸(めんど)で施工されています。湿式材ではないので棟の表面まで面戸が出ています。セメント瓦の屋根は、棟の面戸が出ているかどうかで判別できます。

モニエル瓦とセメント瓦の違いは、小口と呼ばれる瓦のフチ部分にあります。小口が滑らかな形状だとセメント瓦、凸凹があるタイプがモニエル瓦です。

他にも…陶器瓦は釉薬(うわぐすり)によって表面がガラスのような層でコーティングされています。お茶碗のように表面がツルとしており艶があります。粘土瓦は断面や角が丸みを帯びているのが特徴です。一方、セメント瓦は塗装で着色されているので、表面がザラザラしており、経年劣化で色褪せが出てきます。粘土瓦との違いは断面や角が角ばっていることです。表面が粘土瓦のように滑らかではなく、ゴツゴツしています。

 

このように、表面の見え方でも見分けることができます。

 

まとめ

瓦にはいくつか種類があり素材によりメンテナンスも異なります。
粘土系の瓦の場合は表面から水を吸い込むことがないので塗装の必要はありません。しかし屋根材には雨樋や漆喰、下地なども含まれています。それらの耐用年数は瓦ほど長くないため、それぞれの寿命によって交換や補修が必要となります。また粘土瓦は専用の塗料をつかえば塗装することはできます。

セメント系の瓦(モニエル瓦含む)の場合は、防水性がないため表面を塗装で保護する必要があります。スレート瓦などの屋根材に比べて下地処理の仕方が異なることもあるので信頼できる業者に依頼しましょう。

どんなに高耐久の屋根も瓦本体以外の劣化もありますので、5年に一度は点検してもらいましょう。
またメンテナンスの際は実績のある業者に依頼し、粘土瓦の寿命がさらに延びるようなメンテナンスを行いましょう。

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