塗装で大事なこと
家の塗り替えを考えたとき、工事金額や仕上がり具合、業者・・・など色々気になりますよね。
やはり一番は高額な費用がかかる工事なので『良い工事になるだろうか』というところではないでしょうか。
では『良い工事』とはどんな工事なのか?高級な塗料を使う事でしょうか。
塗装工事をする際に最も大事な工程があります。それは仕上がり後にはわからなくなる下地処理です。どんなに高い良い塗料を使用しても下地処理がしっかりできていないと数年後に不具合を引き起こす恐れがあります。実際にリフォーム後のトラブルの多くは下地処理不足と言われています。
このことから良い塗装工事とは?下地処理をきちんと行った工事ということになります。この工程をきちんとせずに塗装をしてしまうと、劣化したままの状態の上から塗装することになってしまうために長期的な住まいの保護という意味では中途半端になってしまい、塗装後に様々な問題が出てきます。
また下地処理がしっかりできていないと、どんなに優れた塗料を使ってもすぐに不具合が出てきてしまい本来の塗料の性能が発揮されない場合があります。
ここで言えることは、塗装工事の質の良さは下地処理きちんと行っているかに大きく左右されます。
適切な下地処理をおこなわないと起こる劣化症状
ヒビ割れ
ひび割れは、雨風や紫外線の影響または振動などを受け続けたことによる原因がほとんどです。です。
しかし外壁塗装から間もない場合のひび割れは、下地補修の施工不良や手抜き工事が原因の可能性もあります。
塗膜の剥離
塗装前の下地処理でに古い塗料をはがしたり、汚れやサビを除去するケレン作業があります。この作業が不十分だと、古い塗膜や汚れと一緒に新塗膜も剥がれてしまいます。しっかり下地処理できていない外壁に塗装してしまうと、塗膜剥離の原因になります。
塗膜の膨れ
塗装工事を行う前には必ず高圧洗浄を施し、表面に付着している汚れやゴミを落とします。洗浄をせずに塗装をおこなうとなれば、下地と塗膜の間に汚れが入り込みしっかりと付着することができません。
またカビや藻が生じている場合は、根本から除去しなければ、塗装後にカビが何層にも重なって塗膜を浮かせてしまいます。
サビの再発
十分なケレンを行わず錆を落としきれないまま新しい塗料を塗ると、サビが再発や塗膜の剥がれを引き起こします。
塗膜の剥がれやサビの再発の多くはケレン不足が原因で起こるトラブルです。
下地処理の作業内容
高圧洗浄
高圧洗浄とは、高圧洗浄機を使って汚れやコケ、旧塗膜などを洗い流す作業です。業者が使用する高圧洗浄機は、ご家庭にある高圧洗浄機よりもさらに高い水圧で水を噴射できます。
外壁や屋根を洗い流し、その後しっかりと乾燥させます。十分に乾燥していない状態で塗装をすると、塗料が密着しにくくなり、剥がれや膨れなどが発生します。
■注意点
・外壁や屋根を破損しないように水圧を調整する
・周囲に水が飛び散らないように養生作業を徹底する
・インターホンなどへの使用は避ける
※塗装しない箇所にも高圧洗浄を頼めることがある!
塗装業者によっては見積もり箇所以外の駐車場など汚れが目立つ場所の高圧洗浄を依頼できる場合もあります。業者によってサービスで洗浄してくれることもありますが、追加料金が発生することもあるので、必ず塗装業者に問い合わせてみましょう。
クラック補修
クラックとはヒビ割れのことを指し、クラック補修は、ヒビ割れを埋めて塗装ができる状態にすることです。補修する際は、ヒビ割れしている部分にシーリング材を充填し、凹凸ができないようにヘラで平らにならしていきます。また、0.3mm以上の大きいクラックの場合は、クラックの奥までシーリング材が入り込むように、あえて電動工具でヒビ割れを削って溝を作ってからシーリング材を充填します。
下地が大きく割れている状態のことを「構造クラック」と呼びます。ヘアークラックは必ずしもすぐに補修をする必要はありませんが、構造クラックの場合は早急に対処が必要です。
ケレン
ケレンの主な役割は、錆び落としや旧塗膜の除去を行うことです。また、ケレンで下地に細かい傷をつけることによって下地と新しい塗膜の密着がよくなります。ケレン作業を丁寧に行っているか否かによって、外観の仕上がりの美しさや塗膜の耐久性に違いが出ます。
ケレンの詳しい作業内容は劣化状況によって変わり、劣化が激しい順に「1種ケレン」「2種ケレン」「3種ケレン」「4種ケレン」の4種類に分類されます。
※木部のケレン作業
ペーパーを使用して木部の表面の汚れを落としていきます。ある程度汚れや古い塗膜を除去し、塗料の密着性をよくするためにスリなどで表面に傷をつける作業をおこないます。
コーキング補修
コーキングとは、サイディングやALCの目地に使用されているゴム状の部分のことです。コーキングも塗料と同じく、時間の経過とともに汚れやヒビ割れなどが現れるため、定期的なメンテナンスが必要になります。
コーキング補修方法には、既存のコーキングの上から新しいコーキング材を充填する「打ち増し」と、既存のコーキングを撤去してから新しいコーキング材を充填する「打ち替え」の2種類あります。どちらの補修方法を行うかは、補修箇所や劣化状況また業者の判断によって異なります。
【参考】コーキング打ち替えが必要な劣化状態と費用相場を徹底検証!
セメント補修
セメントやモルタル外壁はヒビ割れをそのまま放置していると、まわりから崩れてしまい大きな穴ができてしまうことがあります。手で触っただけでも崩れてしまうような状態なら補修が必要です。劣化して崩れている箇所を落してしまってからセメントを打ってコテで補修していきます。
パテ埋め
経年劣化によって、外壁や屋根の表面に凹凸や穴が生じることがよくあります。このような状態でペンキを塗っても、凸凹感が目立ってしまうだけです。パテ埋めと呼ばれる作業で凸凹をなくし、ペーパーで表面を平らな状態にする必要があります。
目止め
目止めとは、塗料の吸い込みが多い面に目止め剤を塗布し、塗料の吸い込みを防ぐ作業です。
劣化が進行していると塗料をどんどん吸い込むため、塗装をしても塗膜に厚みを持たせることができません。目止めはそのような状況の時に、塗料の吸い込みを抑えて塗装面を整える役割があります。
依頼する業者は重要!
今回お話しした下地処理と同じくらい重要になるのが依頼する業者です。施工をする業者が適切な作業を行わなければ意味がありません。
塗装工事の工程はしっかりとした診断から始まります。劣化の状態や部位によって下地処理の方法は異なってきます。その為、診断をおこなう業者にしっかりとした知識があるかは重要になってきます。
相見積をとって「適正価格」「高品質」「保証アフターフォローの充実」この3つを比べてみましょう。適正な価格は同じ内容、条件で複数の業者に見積もりを出してもらい、それらを比較・検討することが必須になってきます。
見積書の書き方も作業内容に応じて項目がわかれるのが一般的です。すべての項目をひとくくりにして「工事一式」と見積書を作成する業者もいれば、下地処理の具体的な内容がわかるように詳細に見積もりを出してくれる業者もいます。
熟練の職人でもミスが全くないということは難しいため、2重でチェックしてくれる管理体制がしっかりしている会社に選びましょう。
塗装は工事が終わったらそれで終了、というわけではありません。工事後に不具合などのトラブルが生じることがあります。このような場合保証が重要になってきます。
外壁塗装を依頼するときは、必ず保証書を書面で出してくれるところにしましょう。口約束だけでは後のトラブルに繋がります。保証内容やアフターフォローは事前に確認し、長く安心して暮らしていけるように充実している業者を選ぶようにしましょう。
地元で実績があり、塗装工事を診断からアフターフォローまでできる塗装専門店がおすすめです。
【参考】外壁塗装業者選びで重要な7つのポイント
まとめ
いかがでしたでしょうか。
塗装工事の工程で目には見えないところですが、工事初期におこなわれる下地処理が大変重要であることをお話しました。
下地処理には、塗装面を綺麗な状態に整えて、塗料の密着性を高める重要な役割があります。
また下地処理をしっかりと行うことで塗料の持つ本来の効果を発揮できます。下地処理をきちんと行わずに工事を進めていくと、工事完了後すぐに塗膜の剥離や膨れ、ヒビ割れなど不具合が発生してしまいます。
業者に見積もりを依頼する際は、塗料の種類や金額だけではなく、下地処理ではどのような作業を行うのか工事内容も確認しておくのがいいでしょう。
塗装の耐久性を高め、長く美しい外観を保つためには適切な下地処理が不可欠です。そのためには、手抜き工事をしない誠実で優良な業者を見つけることが必要です。